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「自由英作文」には自由がない(1)

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日本の大学入試で問われる英作文には大きく分けて2つの種類があり、いわゆる「和文英訳」「自由英作文」に分けられます。前者はその名前の通り「日本語を英語に訳す」ことを求める問題です。そして、後者の「自由英作文」が昨今の大学入試において出題される頻度が増えてきている問題パターンです。

 

  1. 和文英訳
  2. 自由英作文

 

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一口に「自由英作文」といっても、あるテーマに対して自分の意見をエッセイ形式で書くものや、京都大学2018年度の大問3のように日本語の流れからふさわしい内容を自分で補った上で英文に直すものレクチャーをリスニングしてからその内容の要約とそれに対する自分の意見を書くもの、と問題のパターンは多岐に渡ります。


それに加えて1つ言えることは、「自由英作文にはそれほど自由がない」ということです。


今回の記事では、富山大学(医学部医学科)2018年度英語大問3を使って、「自由英作文」について考えたいと思います。

 

富山大学(医学部医学科)2018年度英語大問3

 

The following two stories (A) and (B) describe top athletes’ leadership displayed on their teams. Choose one of the stories and write a one paragraph English essay of about 200 words following the directions below. 


Directions

(a) Explain whether you think what the athlete did was appropriate or not. In doing so, (1) include positive and negative aspects of the athlete’s decisions and acts, and (2) describe what you think 

you would do in the same situation if you were the athlete. 

(b) In the spaces provided on the answer sheet, write “A” or “B” (the story you have chosen) in the parentheses at the beginning, and your total essay word count at the end

(c) Do not itemize (1) and (2) above separately. 


(A) A story about…

(B) A story about…

※物語(A)と(B)の内容は省略

 

書くべき内容を確実に把握する


あるテーマに対して賛成か反対を問うといったシンプルな問題ではなく、この問題では多くのことが受験者に求められています

 

The following two stories (A) and (B) describe top athletes’ leadership displayed on their teams. Choose one of the stories and write a one paragraph English essay of about 200 words following the directions below. 


冒頭部分を日本語にすると次のようになります。

 

次の2つの物語(A)と(B)はトップアスリートがチームに対して見せたリーダーシップを描いたものです。物語のうち1つを選んで、以下の指示に従い約200語を用いて1つのパラグラフで英語エッセイを書きなさい。


この部分で注意するべきはwrite a one paragraph English essay of about 200 words(約200語を用いて1つのパラグラフで英語エッセイを書きなさい)の部分です。


およそ200語で1つのパラグラフしか設けてはいけませんから、そのパラグラフの中の構成をよく考える必要があります。

 

Directions(指示)」を確認してみましょう。まず指示(a)を見てみます。

 

 (a) Explain whether you think what the athlete did was appropriate or not. In doing so, (1) include positive and negative aspects of the athlete’s decisions and acts, and (2) describe what you think you would do in the same situation if you were the athlete. 

【日本語訳】

 (a) 選んだアスリートの行いが適切であった、あるいはそうではなかったと思うのかを説明しなさい。その際に、(1)選んだアスリートの決断と行動のプラスな面とマイナスな面を含め、(2)あなたが選んだアスリートであった場合に同じ状況でどうするであろうと思うかを述べなさい。


指示(a)で注目すべきは「(1)include positive and negative aspects of the athlete’s decisions and acts(選んだアスリートの決断と行動のプラスな面とマイナスな面を含め)」の「positive and negative aspects」の部分です。

 

  • positive and negative aspects


and並列されておりaspects複数形で表記されていますから、プラスな点とマイナスな点の両者を必ず書く必要があります。


さらに、「(2)describe what you think you would do in the same situation if you were the athlete(あなたが選んだアスリートであった場合に同じ状況でどうするであろうと思うかを述べなさい)」では仮定法が用いられていますから、自分の解答も仮定法を用いて書く必要があります。


次に、指示(b)を確認しましょう。

 

(b) In the spaces provided on the answer sheet, write “A” or “B” (the story you have chosen) in the parentheses at the beginning, and your total essay word count at the end

【日本語訳】

(b) 解答用紙に与えられている欄の初めに「A」または「B」(自分が選んだ物語)を(     )に入れて書きなさい。そして終わりにエッセイの合計ワード数を書きなさい。


ここでは解答作成上の形式的な指示が述べられています。エッセイ自体には影響のないように思える内容ですが、「入試問題に対する解答を作成する」という観点からすれば、確実に指示に従う必要があるでしょう。


最後に指示の(c)です。

 

(c) Do not itemize (1) and (2) above separately. 

【日本語訳】

(c) 上記の(1)と(2)を別々に箇条書きにはしないこと。


たった1つの文にすぎませんが、解答を作成する上で非常に重要な設定がされています。「itemize」「箇条書きにする」という意味の単語で、「指示(a)の(1)と(2)の内容を箇条書きで書くな」と指示されています。


つまり、ただ(1)と(2)の内容を英語で書けば良いというわけではなく、冒頭部分であった通り、1つのパラグラフの中で(1)と(2)に対する自分の答えをうまく展開して全体としてまとまりのあるエッセイを仕上げなければならないわけです。

 

書くべき内容からパラグラフの展開を考える


問題部から得られた情報から、書くべき内容を整理します。

 

  • ①:2つの物語から1つを選び、ワンパラグラフで約200ワードのエッセイを書く(冒頭部分より)
  • ②:選んだ物語中のアスリートの行動が適切であったかどうかを答える(指示(a)より)
  • ③:選んだ物語中のアスリートの決断・行動のプラスな側面とマイナスな側面を書く(指示(a)の(1)より)
  • ④:自分がそのアスリートの立場にあった時にどうするかを書く(指示(a)の(2)より)
  • ⑤:解答用紙の初めに選んだ物語がどちらであるか、最後に合計ワード数を書く(指示(b)より)
  • ⑥:③と④を箇条書きにせずに書く


①にあるように、②から⑥の設定を1つのパラグラフの中で展開していく必要があるわけです。


次の記事では、パラグラフの展開例を見ていきたいと思います。

 

(鈴木順一)

 

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