センター英語から共通テスト英語へ
今年、このロジカルノーツは、4年目を迎えました。
本来ならば、開設記念日にあたる2月6日に記事を公開したかったのですが、時世・時勢的にバタバタしてしまい、気づけば、GW過ぎ。。。
2018年の開設以来、ロジカルノーツは2020大学入試改革に関する情報提供を主な柱の1つとしてきましたが、時が経つにつれ、状況は大きく変わりました。
特に、英語。
民間4技能テスト
2017年7月に公表された「大学入学共通テスト実施方針」には、次の記述がありました。
高等学校学習指導要領における英語教育の抜本改革を踏まえ、大学入学者選抜においても、「読む」「聞く」「話す」「書く」の4技能を適切に評価するため、共通テストの枠組みにおいて、現に民間事業者等により広く実施され、一定の評価が定着している資格・検定試験を活用する
この中にある「現に民間事業者等により広く実施され、一定の評価が定着している資格・検定試験」について、「英検」が鍵になると考察した次の記事は、SmartNewsでも取り上げられ、「英語教育のあり方が大きな社会的関心事なんだなあ」と感じました。
いま、改めて読んでみて思うのは、「懐かしい」ということ。もっと言えば、「そういうこともあったなあ」ということ。
2019年11月、英語民間試験の利用延期が発表されたからです。
その後もいろいろあって、今年1月、初めての「共通テスト」が実施されました。
共通テスト英語
共通テストの英語がどのようなものになるのか??
いくつかの注目ポイントがあったのですが、まず気になったのが「情報量」の多さ。
リーディング問題において、総語数は約5,500。センター試験よりも1,000語以上の増加です。
「最後まで読めませんでした」という声も、多数、耳にしました。
この変化をどのように評価するかは置いておいて、「共通テスト」対策に取り組まないといけない人にとっては、「速読力」を身につけることも重要な課題になったと言えるでしょう。
「速く読む」訓練
予備校講師という仕事柄、速く読むトレーニングについては、これまで多くの考察と実践をしてきました。
まず、「目」のトレーニング。見たものを読むわけですから、読むこと自体についての経験値が欠かせません。
いくつかのコツはありますが、とりあえず「たくさん読む」という対処が一般的ではないでしょうか。
今回は、「耳」に着目した速読トレーニングについて、日頃の受験指導の中で思うところを述べたいと思います。
「読む」とは
まず、「読む」という営みがどのようなものなのかを考えてみましょう。
- ①「文字」を見る
- ②「文字」を理解する
「目」のトレーニングは、この①の段階に関するものです。
テストという文脈で「読む」ことを語る場合、基本的には②の段階が重要になります。
「理解」にもさまざまなレベルがあります。「書かれている情報」を整理する力であったり、筆者の意図にまで踏み込んで「書かれていないこと」を考察する力であったりと。
ですが、本記事は「速読力」をテーマにしておりますので、ここでは「書かれている文字のおおよその意味内容を把握している」状態を「理解している」状態とします。読んですぐに「あー、そういうことを言いたいのね」といった感想を得るくらいのレベルです。
音読と黙読
伝えたいことを正確に伝えるため、少しまわり道をします。お付き合いいただけると幸いです。
読み方の分類として、音読(声を出して読む)と黙読(声を出さずに読む)の2つが知られています。
音読に関しては「音声」というわかりやすい指標がありますので、上手さ下手さを評価しやすいでしょう。
これに対し、黙読の仕方は人それぞれですので、そのトレーニングは難しいです。他人の黙読がどのようなものなのかを知る機会は、基本的には「ない」からです。
私たちは予備校講師という仕事柄、他人(受験生)の黙読がどのようなものなのかを考え続けてきました。受験指導の現場で、受験生に「どんな黙読をしているのか」をしつこく聞くこともあります。
その経験の中で思うのは、黙読にも2つあるということ。
- A:完全な黙読・・・頭の中でも声にしない黙読
- B:音読的黙読・・・頭の中で声にしている黙読
音読的黙読のスピードを上げる
さて、本題に戻ります。
「読む速さ」に関し、黙読がA(完全な黙読)になっている人は速く、B(音読的黙読)になっている人は遅いという傾向があると感じます。また、常にA(あるいはB)になっている人はそれほど多くありません。「何を読んでいるのか」によって、Aになったり、Bになったりするという感じです。
速読力が問われるテストを受けるのであれば、A(完全な黙読)の訓練をするのが理想的。ですが、「共通テストの英語」においては題材は多岐にわたりますし、そもそも英語が得意かどうかも関わりますので、B(音読的黙読)のスピードを上げることも並行しておきたいところです。
速読のために音声言語に慣れる
頭の中で音読をしている状態の人が「英語の速読力」を身につける方法。
その1つの提案として、頭の中で流れている英語音声を速くする、というのを挙げたいと思います。要は、たくさん英語音声を「聞く」、あるいは、「話す」ということ。
リーディング対策なのに、リスニングやスピーキングをするの??
このような疑問を抱く人もいるでしょう。
ですが、そもそも人間の言語獲得の始めは、音声言語です。「音声言語の習熟度を高めることによって、文字言語の運用能力を高める」ことを狙うのは、ごくごく自然なことだと思います。
リスニング対策授業の中で「読めないものが聞けるわけない」と言うことも多いのですが、言語獲得の順序を考えると、その逆も然りで、「聞けないものが読めるわけない」と思います。音声言語と文字言語を「違うもの」と捉えすぎるのは、不自然なことでしょう。
英語音声に慣れ、音読的黙読の際、頭の中で流れている英語音声のスピードを上げる。
そうすることで、結果的に「前よりは速く読めるようになった」という状態をつくって欲しいと思います。
共通テスト英語だからこそ
とは言え、「速読・リーディング対策なのに、リスニングとかって・・・」という意見もあるでしょう。
確かに、以前であれば、私たちの提案は「急がば回れ」的なものでもありました。しかし、いまは状況が違います。共通テストの英語においては、リスニングの重要度が大きく高まったからです。
- センター試験:リーディング200点、リスニング50点(4:1の比率)
- 共通テスト:リーディング100点、リスニング100点(1:1の比率)
2020大学入試改革において、民間4技能テストの導入は見送られましたが、リスニングに関しては、センター試験時代よりも重視されるようになっています。
なお、大学によっては、リスニングの配点が変更されていることもあります。
一例を挙げますと、令和3年度の産業医科大学医学部入試では、共通テストが1次試験に用いられ、「英語」の配点は「リーディング80%・リスニング20%」です。あくまで、本記事で「リスニング比率↑」としているのは、「共通テスト」自体がリスニングを重視しているという意味であって、個別の大学がどのように評価しているのかは、別問題です。
話を戻します。
- リーディング:総語数↑↑
- リスニング:比率↑↑
これら2つの大きな変化が見られた共通テスト英語。人生を賭けた勝負に臨むのであれば、英語音声に慣れる時間をしっかりと設けて欲しいと思います。
どのようなサービスがあるのか
「英語音声に慣れる」としても、どうすればよいのでしょうか。日本で暮らしていると、日常的に英語を使用する機会は多くありません。
1つのアイデアとして、以前、ロンドン大学卒のYさんの寄稿にあった、海外ドラマなど、映像作品の活用が挙げられます。
しかしながら、これは「英語音声を聞く」という経験でしかありません。
思うに、言語は、受信と発信がセットになるもの。
文字言語であれば、「書く力」があるからこそ、「読む」ときに書き手の意図にまで迫った読解ができるのです。音声言語であれば、「話す」ことができる言葉だからこそ、しっかりと「聞き取る」こともできる。そう考えると、「英語音声を話す」経験値も高めておきたいところでしょう。
身近に、英会話の相手がいるのであれば、協力してもらう。そういった相手がいない場合、あるいは、近しい人を相手にしても「話す」トレーニングになりにくいと思う場合、英会話レッスンの提供事業者が大きな助けになると思います。
こう考えて調べてみたのですが、改めて実感しました。インターネットって便利ですね!
実にさまざまなサービスがあることに驚きました。自宅でできる、つまり、移動の手間がかからないものも多いです。
世にあるすべてのサービスを把握することはできませんでしたが、気になったものを少し紹介したいと思います。
教材
こちらは、独学で、聞く力・話す力を高める英会話教材です。中学英語をベースにしながらも、身につけられる英会話力はCEFRのA1~B1レベル!
他の英会話サービス(教室・オンライン)とも併用しやすそうです。
オンライン英会話
こちらは、長年日本で英語講師をされてきたアメリカ人の方が代表を務めておられるスクール。
予備校講師として「いいなあ」と思ったのは、予習を動画で行い、レッスンでは「話す」ことに集中できること。特に英会話初心者にとって、ありがたいシステムだと思います。
こちらは、英検合格に特化したオンライン英会話サービス。
日本の大学受験において、「英検」は武器になります。それに力を入れてくれる英会話レッスンは、痒いところに手が届く的なサービスと言えるでしょう。それにしても中2で英検1級に合格された方を輩出したのはスゴイ!
やり方はいろいろある
本記事を執筆するにあたり、さまざまなサイトをチェックしました。プロ講師として、「その手があったか!」という感想を抱いたサービスもたくさんあります。
勉強の仕方って、いろいろある。
ちょっとした工夫や着眼点の違いで、得られる結果が大きく変わる。
こうした、言わば「当たり前」のことを再確認することができました。
完全に独学・独習で、英語音声に慣れるための取り組みをする人にとっても、世にあるさまざまなサービスをチェックすることで、「なるほど、このように勉強すればいいんだな」といった発見があると思います。
自分のやり方を見つけることは尊いことですが、それに固執するのは、少なくとも受験においてはリスキー。行き詰まったときには「何かヒントがないか」と考えるのも重要です。
そのヒントを探すのに、インターネットはとても便利!
こんなことを思いながら、本記事を書きました。
(吉崎崇史・鈴木順一)