「国語」が変わりました!
ご存知の方も多いと思いますが、2025年、大学入学共通テストの「国語」で大問が追加されています。増えたのは、大問3の実用的な文章(以下、「実用文」)。
- 評論文(45点)
- 小説文(45点)
- 実用文(20点)NEW
- 古文(45点)
- 漢文(45点)
・・・大問の追加て。。読むもの、むっちゃ増えるやん。ただでさえ、多いのに。
ため息が聞こえてきそうですが、大学入試センターの優しさなのか、試験時間も10分増えています。
・・・いや、10分て。。。
どんな問題なの?
「実用文」とはどんな問題なのか。ひとまず、大学入試センターが公表している言葉を紹介します。
新たな大問を追加し、より多様な文章を扱うことで、言葉による記録、要約、論述、話合い等の言語活動を重視して、目的や場面に応じて必要な情報と情報の関係を的確に理解する力や、様々な文章の内容を把握したり、適切に解釈したりする力等も含め多様な資質・能力を評価できるようにする。
(大学入試センター「令和7年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テストの出題教科・科目の問題作成方針に関する検討の方向性について」より抜粋)
いろいろな言葉を読む
「新たな大問を追加し、より多様な文章を扱う」とありますので、従来の国語では扱われなかったタイプの文章が出るということですね。
実際、「実用文」の初回となった2025年の共通テストにおいては、【文章】以外に【資料】も読む必要があり、その【資料】にはグラフ等の「これ、国語??」となりそうなものが含まれています。
また、その【資料】の出典も、「国立国語研究所『外来語に関する意識調査(全国調査)』」や「NHK 放送文化研究所『放送研究と調査』」などのリサーチ資料です。これまでの感覚からすると、「これ、国語??」となりそうなタイプの文章です。
探究的な設問
「実用文」においては、設問のつくりも独特です。2025年の共通テストを確認してみます。
《問1》Uさんは、「インフォームドコンセント」という語に注目する理由を明確にするため、【文章】の第一段落の(X)に文を書き加えることにした。書き加える文として最も適当なものを一つ選べ。(4択)
《問2》Uさんは、【文章】の傍線部A「意義があった」について、どのような意義があったのかを具体的に示すため、表現を修正することにした。修正する表現の内容として最も適当なものを一つ選べ。(4択)
《問3》Uさんは、【資料Ⅲ】を用いて【文章】の第三段落の主張に根拠を加え、さらに【文章】の全体を整えることにした。これを読んで、後の(ⅰ)・(ⅱ)の問いに答えよ。
(ⅰ)Uさんは、【文章】の第三段落の傍線部B「時代が進んでも社会全体として外来語の増加を当然だと考える人が大きく増えるとは限らない」という主張の根拠を明確にするため、【資料Ⅲ】を用いようと考えた。【資料Ⅲ】から読み取れる根拠として適当でないものを一つ選べ。(4択)
(ⅱ)さらにUさんは【文章】全体を読み直し、加筆・修正したいと思ったことを書き留めた。加筆の方針として最も適当なものを一つ、修正の方針として最も適当なものを一つ選べ。(各3択)
- 理由を明確にするため、何を書き加えるか?《問1》
- 意義を具体的に示すため、どのように修正すべきか?《問2》
- 資料から読み取れる根拠は?《問3(ⅰ)》
- 文章を加筆・修正の方針は?《問3(ⅱ)》
「『国語』って、書かれているものを見つけるテストだよね」と思っていた人からすると、「ん??」となるのではないでしょうか。高校生活で言えば「探究」、受験科目で言えば「小論文」、これらで要求されるスキルが共通テストに入ってきたなあという印象です。
従来、「国語・現代文」では、主に評論文や小説文の読解スキルが試されてきました。「本を読む力」とでも言えましょうか。
もちろん、知識等を手に入れるために読書力は重要です。しかしながら、日常生活の中で「国語力」を実感するシーンは、読書のときだけではないはずです。上述した大学入試センターの言葉を借りれば、「言葉による記録、要約、論述、話合い等の言語活動」においてこそ、「ああ、この人は言葉の力があるなあ」と感じるのではないでしょうか。
対策の必要性
以上で述べました通り、共通テスト大問3の「実用文」では、従来型の国語・現代文とは異なる力が問われています。「いろいろな資料に目を通し、理屈や根拠をその場で考える力」が必要です。
また、非常に限られた時間で処理をしなければならない共通テストにおいては、「むちゃくちゃ時間をかけて解く」ということが不可能です。共通テストの「国語」は90分・200点ですので、配点が20点の「実用文」に使える時間は単純計算9分。試験時間が10分増えたとは言え、課題文(しかも、資料付き)が増えたわけですから、「時間との勝負」になります。
さらに、「実用文」はあくまで大問の一つですので、ここに手間取ったり不安なまま進めていったりすると、他の問題にも影響が及びかねません。
要するに、「実用文」を意識した対策が必要だということです。
次回、「実用文」の試作問題を素材に、どのように対策していけばよいのかを考えていきたいと思います。
(吉崎崇史)