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【質疑応答】4技能時代における英語教育と受験対策

ロジカルノーツの記事がSmartNewsで紹介されたこともあり、その内容についてご質問等を受けることが増えてきました。特に、「4技能時代の英語評価 - TOEIC撤退によって『英検』が軸になる流れか!?」の記事は反響が大きく、大学入試改革の大きな柱である「英語4技能評価」のあり方は多くの人の関心事になっていることを実感します。

 

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実は、この記事の内容は2019年6月30日に実施した無料セミナー「大学入試改革 - 英語4技能と新センター試験」でお話しさせていただいたものが核になっています。


4技能時代の英語評価のあり方については、2018年2月のロジカルノーツ・プロジェクトの開始以来、さまざまな人と議論を重ね続けてまいりました。英検、TOEFL iBTなどの4技能テストについて、受検料や実施方法の面での考察をし、「『英検』を軸とする4技能評価になるだろう」という予測6月30日のセミナーでお話しさせていただき、その内容を公開するタイミングだった7月2日にTOEIC撤退のニュース


すでに作成済みだった記事にTOEIC撤退のニュースを反映させ、7月2日中に「4技能時代の英語評価 - TOEIC撤退によって『英検』が軸になる流れか!?」の記事を公開させていただきました。


速報性、話題性の高い内容だったからか、「無料セミナーでどんな話をされたんですか?資料とか残っていますか?」といったお問い合わせも少なくありませんでしたので、本記事において、無料セミナーでなされた質疑応答の内容を一部紹介させていただこうと思います。


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英語4技能について

Q:地方の公立校に通っていて、高校が4技能の対策をしてくれないとき、受験に失敗しないようにするためには何に気をつければいいですか?

A:リーディングとライティングは教材もたくさん市販されていますので、自力でできることも多いでしょう。そのため、ある程度独学をしなければならない人にとっては、当面の間はリスニングが鍵になるのではないでしょうか。

Q:英会話の塾とかスクールに通うことが難しい場合、どうすればリスニングの力がつきますか?

A:単語を覚えるときにも「読む・書く」の勉強だけでなく、自分で発音する習慣をつけるのが大切です。その習慣を守ることが一番難しいでしょう。「正しく発音できないと正しく聞きとれない」ということを自分に言い続けて欲しいと思います。洋楽や洋画などに親しむのもよい方法でしょう。


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Q:予備校で英語を教えているのですが、新しく導入される4技能評価について自信をもって生徒に伝えることができるのか不安です。特に、ライティングの評価方法がどのようなものになっているのか、これまでの受験対策とは異なる部分も出てくると思うので、何かヒントのようなものをお教えいただけますでしょうか?

A:私が指導している中で経験したことを基にお話ししますと、「4技能」を求める認定試験の対策についてはそれぞれの試験の評価基準や解答作成のポイントに沿った指導が重要であると思います。ライティングであれば、従来の大学受験全般においては「文法的に正しい英文を書く力」が大きく求められていましたが、例えば認定試験の1つである英検では「問に対する答えが正しく伝えられているか」や「自分の意見を論理的に首尾一貫性を持って展開できているか」といった観点が大きな採点のポイントになっています。

このように、「試験対策」という文脈においては、大学受験指導と同様に、テクニカルな指導が必要になると思います。しかし、根本的な英語力を高める指導こそがやはり重要であると実感しております。ライティングであれば一文をしっかりと書けないとパラグラフになった時に自分の意見が正しく伝わるはずがありませんし、スピーキングでも文法的に正しい一文を正しく発音し発声することができなければ自分の意見を流暢に述べることなど到底不可能です。

Q:私は監査法人で働いているのですが、海外案件にも対応できるようになりたいのでTOEFLを受けようと考えています。他のテストと比べてどのような力が求められていて、どう対策を進めればよいですか?

A:TOEFL iBTは主にアメリカの大学への進学を考えている方が受験することを想定しているため、テストの内容としては専門性の高すぎない学術的なものや、キャンパス内での状況を想定したものが扱われている試験です。2019年8月から試験内容が少し変更されることが発表されており、試験時間が少し短くなる予定ですが、試験の難易度についてはとりわけて変化はないと思われます。

TOEFL iBTの特徴的な部分としてライティングとスピーキングで出題されるIntergated Task(統合型問題)が挙げられます。この問題形式では単純に英語を書く・話すの能力だけが問われるのではなく、例えばライティングであればあるお題についての短い文章を読み、同じテーマのレクチャーを聞き、レクチャーの内容を中心に、読んだ英文と聞いた英文の内容を英語でまとめて書く、という統合的な英語の力が試されます。

こういった側面を考えると、TOEFL iBTで高いスコアを取るためには「4技能」の均等な学習はもちろんですが、リーディングとリスニングという受動的な学習が鍵となると考えられます。一朝一夕にスコアアップが期待できる試験ではないため、リーディングとリスニングというインプットの能力を着実に身につけながら、ライティングとスピーキングというアウトプットの練習をこなしていく必要があります。

Q:セミナーの最後で言及されたフォニックスってなんですか?

A:フォニックスは英語圏の子どもたちが読み書きを身につけるための学習法の1つで、英語のスペルと発音の関係性を法則化したものです。この法則を身につけることで、初めて目にしたものであってもつづりを見れば正しい発音ができる、というわけです。

 

(番外編)ロジカルノーツについて

Q:今回のようなセミナーを無料で開いてもらって嬉しいんですけど、なんで無料なんですか?ふつうにお金を払ってもいいくらいの対策セミナーですけど。

A:嬉しいお言葉、ありがとうございます。今回のセミナーはロジカルノーツにとってもいろいろな考え方を頂戴できる機会ですし、足を運んでくださった上に、対価もいただくのもどうかと思いまして。あと、現時点ではロジカルノーツをビジネスの文脈に置きたくないという事情もあります。本格的にビジネス展開することによっていろいろな可能性は出てくるでしょうが、利益を追求する中で見落としてしまうものもあると考えています。いまはまだ、もう少しさまざまな可能性を探りたいと思っています。

Q:ビジネスパーソンとしても参考になるものが多く、新しい記事が公開されるといつも拝読しております。今後、どのようなコンテンツを考えていますか?

A:4技能テストについても扱っていきますが、「自分の言葉でものを伝える力の高め方」をメインテーマとすることに変わりはありません。その方法論の1つとして「日本語と英語におけるライティング力の高め方」を主に扱う予定です。

また、いま力を入れているコンテンツとして「さまざまな体験者の語りの紹介」があり、すでにEC事業会社の部長キリスト教教会関係者の方などに寄稿していただいております。「さまざまな体験者の語り」へのアクセスの機会は、これからの人たちが「自分の言葉で何を語るべきか」を明確にするのに資すると思われますので、今後も協力者を探して寄稿文を集めてまいります。

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さらに、理数系コンテンツも始めたいと思っています。すでに執筆協力者には打診済みで、前向きな回答も得られています。「これからの人たち」にとって有益なメッセージは何か。受験対策を超えたところにあるものを議論している最中ですので、記事の公開まで少し時間がかかりそうではありますが。

 

(吉崎崇史・鈴木順一)

 

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