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【寄稿】「好き」を仕事にする生き方

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ロジカルノーツの読者の皆様、はじめまして。


私はアパレルデザイナーをしています。「好き」を仕事にしています。これは自信をもって言えることです。


その話を書いてほしいとのご依頼があり、皆様の目にとまるこの文章を書かせていただいています。


フリーランスのデザイナーとして活動させていただいていますが、実は、私はアパレルデザインのための学校に通ったことはありません。もしかしたら不利だったのかもしれません。でも、だからこそ、今の私がいるのだと思います。


ただ「服が好き!」という気持ちで働き続け、「好き」を仕事にすることができました。


そんな話を少しさせていただきます。

 

学生生活


今はどっぷりと「おしゃれが大好き!服が大好き」な私ですが、中学1年生までは親の決めた少し堅苦しいボーイッシュな服を着ていました。


親が服に対してこだわりがありましたので、日に日に自分自身も服に興味が出てきましたが、まだ自分では買えません。親が許してくれそうな範囲で少しずつおしゃれを始めました。だから、なかなか流行りの服を着ることができませんでした。


「将来の自分をどうしたいか」を考え出した高校2年生の時、「アパレル業界で働きたい!」と思い、そのための専門学校への進学を希望して親に相談をしたことがあります。しかしながら、大学への進学を望んでいた親にはそんな思いは伝わらず、また、伝える力もなかった当時の私は短大へ進学することになりました。


今は短大や大学にもアパレル系の学部があり専門的なことを学べると聞いていますが、残念ながら、私の時代にはまだそのような学校はありませんでした。だから、アパレルとは無関係の勉強をする生活を送ることになりました。


とはいえ、進学後アパレル業界への興味が薄れることはありませんでした。服に値段をつけるバイトから始め、最終学年でも就職活動のことを考えず、販売のバイトを探すことにしました。

 

デザイナーの道が開けるまで


当時一番人気だった梅田のHEPで、バイトを募集しているお店を探しました。


私は、人見知りなので、接客すごく苦手でした。ですが、服が好きなだけの私が、専門学校にも行ってない私ができることは接客販売からでした。このときの私には、アパレル専門の勉強をしていなかったコンプレックスもあったかもしれません。


とはいっても、働くことになったら、接客は必須です。苦手な中、頑張りました!


これ以上ないと思うくらい頑張って頑張り抜いて、さらに、自分のスキルアップを考えるようになりました。


このときに仕事内容が認められ、望んでいた仕事を希望できるようになりました。VMD(ビジュアル・マーチャンダイジング)です。


お店で商品をどう並べるかボディーに何を着せるかを考える仕事です。人のことではなく、服のことを考えるのに集中できるので、私にとっては最高の仕事でした。


当時の私を評価するとしたら観察力リサーチ力です。服に関して、それは「すごくあった」と断言していいと思います。観察とリサーチを重ねていた当時の私は、今の私が振り返っても「かなり努力した」と言えます。そして、私だけのセンスVMDの仕事をする中で、自分の存在をアピールし続けました。


その結果、店長に評価してもらえ、「本部の企画デザインの仕事をしないか」と言われました!


私の企画・デザイナー人生始まりの瞬間でした。

 

初めてのブランド立ち上げ


新規ブランド立ち上げという形で、その企画デザインの仕事をスタートするようになったのですが、そのお話の前に、ブランドが立ち上がる経緯を少しお話しさせていただきます。


まず、ブランドMAPというものを作ります。これは、立ち上げるブランドを「こんな感じにしていきたい」という思い写真や図を使ってまとめた資料です。スクラップなどに少し近いです。

 

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そして、生地を選び、サンプルを見て、「どんな服が作りたいのか」を考えます。


次は、仕様書の作成。お菓子作りのレシピのようなものです。

 

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それだけではありません。お店の内装のデザイン・紙袋のデザイン・雑誌撮影の立ち合いなどなど・・・その他にも色々なことをします。


初めは新ブランドで4店舗をオープンさせました。そして、1年後には全国で8店舗となりました。


500枚以上売れたコートも企画し、冬物の立ち上がり商品を予想して店頭に出したところ反応が出て、売り上げが前年度の120%になりました。これが、私が初めて立ち上げたブランドの実績です。


初めての経験分からないことが多く大変でした。思い通りにはなかなかいかず、本当に悔しい思いもしました。でも、私には服が好きな気持ちが誰にも負けないくらい強くあり、「何が何でも努力して売れる服を作りたい!」と思い続けていました。


行き詰まったとき、私を助けてくれたのは、自分のクローゼットの中の大好きな洋服たちでした。サイズの参考になったり、私の好きな服がどう作られているのかを考えたり・・・それまで気にしていなかったことを気にしてみると、すごい勉強になりました。


自分が企画生産したものをお客様が見て、そして、買っていただく。このことに緊張嬉しさを感じました。リサーチ力もさらに身につき、今まで自分で探していた情報にプラスして色々学べ、成長できたと思います。


そのシーズンのイメージ売りたい商品商品そのものの説明をするために資料を作り、80人ほどの店長の前で発表しました。こうした経験を重ねる中で、わかりやすく自分の考えを伝える方法を学びました。

 

転職を続け、アパレル業界の川上~川下を全て経験


その後、私は、数度の転職を経験します。


まずは、仕事内容がほとんど同じ会社。ここでもブランド立ち上げに携わりました。雑誌に取り上げられた商品なども企画でき、売り上げを伸ばすことができました。


次は、私自身が大好きなSHOPからのお誘いがあり、販売の仕事を経験します。以前の私とは少し違う接客方法が身につきました。それは目の前の1人のお客様にしっかりと接客をさせていただくことです。その接客の中で、プライベートなお話を聞かせていただくこともありました。洗濯方法などが気になる方も多くおられましたので、企画職という前職を生かして、商品知識を混ぜながらご提案させていただきました。


趣味などを理解し、LIFESTYLEを考えて接客をさせていただく経験は、その後の私にとって大きな意味がありました。短い期間ではありましたが、新しい接客を学べただけでなく、VMDにも携わらせていただきまして、大好きなSHOPの売り場を勉強することができました。自分の中にある「好き」再確認する、私にとっては大切な時間でした。


その後、メーカーへ転職。アパレル業界ではありますが、それまでの仕事とはまったく逆の立場の会社になります。全てが1からのスタートでしたが、モノ作りの観点からの経験を得ることができました。また、ここでは営業生産の仕事も経験することができました。


営業の仕事では、お客様の思いを形にするため、お話を聞いて理解する必要があります。「お客様はどのようなことを考えているのか」を考えながらお話をさせていただくことの大切さを改めて学ぶことができました。


生産の仕事も担当し、納期管理資材発注などを通じ、段取りを立てて仕事をするスキルも身につきました。これでアパレル業界の川上から川下までの流れを全て経験できたこととなります。これは私の強みです。


その後、このメーカーでNETSHOPを立ち上げましたので、その運営全般をすることになりました。NETSHOPは特殊ですので、売れるときには、1週間で300着、2年間で5000着の販売になった商品企画もさせていただきました。

 

フリーランスデザイナーとして


アパレルという業界の川上~川下を全て経験し、今はフリーランスデザイナーとして活動中です。


1つの会社をメインにし、出向のような形でお仕事をさせていただいています。これまで幅広くアパレル業界に携わってきた経験が役に立っており、デザインだけでなく、バイイング販売・レイアウトなどのフォローの仕事もさせていただいています。


このAW(秋冬)では、5日間で1000着売れたスカートなどの企画もしました。

 

自分の作った服が、「かわいい!」と言われて買ってもらったり、町ですれ違う人が着ているのを見たりすると、本当にうれしくて。この仕事をしていてよかったと思います。


未経験の私がここまでの仕事ができるようになったのは、それだけ「服が好き」ということです!


そこだけは、いつも揺らがず、今も揺らがず、頑張っています。


色々な会社を経て、今は個人的に依頼を受けてデザイナーをしていますが、好きな仕事ができている今も自分自身のステップのために色々なことにチャレンジしている毎日です。


いつかは自分のブランドショップを持ちたいので、それに向かって頑張っています!

 

以上が、私の歩んできた人生です。

 

最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。


(とあるアパレルデザイナー)

 

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