2018年2月6日、ロジカルノーツをはじめました。まもなく3年目を迎えようとするのですが、この2年間でいろいろと状況も変わってきました。そこで、これまでの時間を振り返り、改めてロジカルノーツの目的について述べてみたいと思います。
ロジカルノーツをはじめた理由
2018年2月、小論文講師の吉崎崇史(Senior Administrator)と英語講師の鈴木順一(Administrator)の2人で始動。
共に出講していた医学部受験予備校や国際系予備校では、日本語と英語の違いはありますが、ライティング対策(小論文、英作文、出願書類)を担当。
「思っていることを言葉にする」
ただそれだけのはずなのに、表現するという営みはもっと自由であっていいはずなのに、「どんなことを書かなければならないのか」という悩みに支配されて自由なエッセイを書くことができない人をたくさん見てきました。
特に、志望動機や自己アピールの文章を書く場面において、自分に正直な話をすることができず、悩み苦しむ人をたくさん見てきました。
- 「私の人生にとって重要な場面なのに、自分に嘘をつくのは受け入れられない」
- 「誰でも言えるような話を評価されても、それは私自身に対する評価ではない」
こういった思いを抱える人は、自分の人生に真摯に向き合っている人です。だから、私たちは「正直に言えばいいし、その上で開けた人生があなたの歩むべき人生だと思います」といったことをお伝えすることにしています。「どのように伝えるべきか」のアドバイスはさせていただきますが。
もちろん、入試という文脈では「他者の評価を気にしなければならない」という事情もあります。だけど、その評価は、あくまで表現の論理性や正確さに関するものです。
言葉にする段階では他者(採点者)の評価を前提にして取り組むのが得であることを否定しません。そのためのスキルというものは確かにあります。しかしながら、言葉にする前段階の「何を思うのか」については個人の自由でしょう。
「どのように表現したのか」(書く力)が評価対象になるのは仕方ないとしても、「どのように思っているのか」は個人の内面に深くかかわるもので他人が口をはさむべきことではありません。
特に、思想信条の自由(憲法19条)、表現の自由(同21条)、そして学問の自由(同23条)を基礎とする大学が「どのように思っているのか」に着目した評価・採点をするのは筋が違います。「大学は思想内容そのものに着目した合否判断をしない」と信じていますし、実際に私たちが担当してきた「自分に正直な話」をした受験生たちは、毎年多数、国公私立医学部や早慶上智ICU・GMARCH・関関同立への進学を果たしています。
以上のような考えと経験から、私たちは、受験生がとらわれている「こういうことを言わなければならない」という鎖を断ち切りたいと思い、ロジカルノーツをはじめました。
「誰にでも言えることではなく、自分にしか言えないことに価値を見出してほしい」
この願いをこれからの人たちに届ける場があればいいなと思ってのことです。
2020大学入試改革
ちょうどその頃、大学入試改革が迫っているタイミングでした。そのため、「どうせ何か(ロジカルノーツ)をはじめるなら、有益な情報を発信してもいいんじゃないかなあ」と考え、英語4技能テストについての情報提供もすることに。鈴木順一(Administrator)が英語4技能テスト対策の講師でもあり、これに関する著書が大学で採用されている専門家だからです。
英語4技能テストの活用、共通テストにおける記述問題の導入・・・これらの是非について活発な議論がなされていましたが、当時は「決まっていること」でしたので、それに対する不安を抱え、かつ、対策アドバイスにアクセスしにくい(地方部等の)受験生に向けたコンテンツを発信しようと決めました。
- 論理的表現の基礎
- 英語4技能テスト
しかしながら、周知の通り、英語4技能テストの活用と共通テストにおける記述問題の導入は見送られます。
2020大学入試改革が頓挫したような中、「ロジカルノーツは無駄になったね(笑)」という意見を頂戴することも多々あったのですが、そんなことはありません!
だって、私たちの取り組みは受験対策のためだけではないからです。
これからの人たちが「こういうことを言わなければならない」という呪いから解放されるように、自分の言葉でものを伝えることの大切さを訴えたい。
この思いが根底にあります。
さまざまな人生へのアクセスの機会
いま、ロジカルノーツには協力者がいます。
「どのように伝えるか」を考える前に、「何を伝えたいのか」を考えないといけません。そして、これは「私という人間がどういう人間なのか」を明らかにする営みです。また、これからの人たちにとっては「私は私の人生をどうしたいのか」を考える営みでもあります。
「私の人生をどうしたいのか」
これを考えるとき、さまざまな人生についての語りが参考になります。
吉崎(Senior Administrator)が副代表を務める看護系受験専門予備校トライアルゼミでは、セカンドキャリアとしての看護師を望んでおられる社会人受験生が学んでおり、鈴木(Administrator)も英語講師として受験サポートをさせていただいております。その中で、実にさまざまな人生についての語りに触れ、私たち自身、多くのことを学びました。
幅広い年齢の方たちの人生の岐路に立ち会う経験を通じ、さまざまな人生についての語りの重要性を実感しています。
このような考えに基づき、「こんな人生もあるんだ!」という資料をこれからの人たちにお渡しすることにしました。いろいろな生き方や考え方に触れることによって、「どのような人生を全うしたいのか」を考えるヒントになるのではないかと思ったからです。
そこで、この考えに共鳴してくださった方たちからの寄稿記事を公開することとなりました。
高卒後すぐにロンドン大学への正規留学をされたYさん。
同じく、高卒後すぐにアメリカの大学へ進学した株式会社「ささげ屋」業務推進部部長の加藤輝真さん。
海外大学への進学を選択したこの2人の言葉は、これからの人たちにとって将来の参考になると思います。
また、自分のしたいことを追求する生き方を選んだ美術作家の杉本圭助さん、「とあるアパレルデザイナー」さん。
この2人の言葉は、「自分の人生と向き合うこと」について考えさせられます。
ロジカルノーツの記事についての感想文ではありますが、「社会人としてどのように顧客と向き合うべきなのか」を伝えてくださった運用会社のプロモーターの方の記事もあります。
そして、多くの寄稿記事を書いてくださっている「とあるキリスト教教会関係者」さん。
たくさんの言語と文化に触れる生活をされている方の見方・考え方は、視野を広げてくれます。
ロジカルノーツは吉崎(Senior Administrator)と鈴木(Administrator)だけが作っているわけではありません。
今後も協力者を探してまいります。私たちが予備校講師ということもあり、ロジカルノーツは、比較的若年層の方、特に大学受験生の方に向けたメッセージを発信する場としての面が強いと思われます。
「これからの人たちに伝えたいことがある!」という方は、吉崎【yoshizakitakashi☆logical-notes.com(メール送信時には☆を@にしてください)】まで連絡いただけると嬉しいです。
SmartNews
さて、この2年間を振り返るとなったとき、はずせないのがSmartNewsで記事が紹介されたこと。正直言って自慢です笑。
これからの時代の主流になるのではないかと思われた京都大学2018(前期)英語大問3を扱った記事がSmartNewsで紹介されました。
あまり覚えていないのですが、とてもたくさんのアクセス・PVがあり、その日だけで、それまでの全PV数に迫る勢いだったと記憶しています。調べてみたら「スマニュー砲」と呼ばれるらしいですね。
Google AdSenseを利用していれば広告収入になったようなのですが、時すでに遅し・・・。「まあ、こんなことはもうないだろう」と諦めて過ごします。すると、半年後に連続で「スマニュー砲」が!
このときのアクセス・PV数はすごかった!とはいえ、広告収入はありません。。
ついつい金額を計算し、さすがに少し考えます。「広告つけようかな」と・・・。
ただ、どんな広告が入るのかもわからないし、未成年の方が読まれることを想定すると「やっぱりこのままでいいや」となりました。広告収入を目的とした運営になるとコンセプトがブレるし、そうなると寄稿者の意図から外れてしまいかねません。
その後、4度目のSmartNews掲載。
もう惑いません。きっと、、いや、たぶん・・・。
セミナー
いくつかのイベント・セミナーも実施しました。
最初は「【看護学生限定】就活小論文講座」です。数年前に看護系受験専門予備校トライアルゼミに通っていた看護学生の方からの「病院就職試験に小論文があるので助けてほしい!」という連絡がきっかけです。
就活なので履歴書アドバイスもすることになり、その中でお話しした「志望動機」に関する内容を記事にもしました。
次は「大学入試改革 - 英語4技能と新センター試験」のイベント。
このときのメインコンテンツである英語民間試験の活用は見送られましたので、いまとなっては・・・違います!
このとき、監査法人勤務の方が参加されていまして、この方からのお願いで読書会を開催することになりました。
何かしら動いていれば何かがはじまる・・・こういったことを感じる出来事でした。
これから
3年目を迎えるにあたって、これからどうしていこうか?
読書会を軸の1つにしたいと思います。いろいろな出会いや学びがあると期待!
また、仲間(寄稿者)集めは積極的に行っていきます。すでに新しい協力者とも出会えており、寄稿記事準備の段階です。
受験生を取り巻く状況もいろいろ変わるでしょうし、どのようになるのかはわかりませんが、「ノーツっぽいかどうか」を基準に、「これからの人たち」に向けた発信を続けたいと考えています。
(吉崎崇史・鈴木順一)