おもしろい人と出会いました。ひろっこりーさんです。
大学法学部を卒業後、もともと好きだった動物の研究をしようと思いたち、再度大学受験を決意。理学部生物学科では都市型タヌキの生態調査で卒論を書き、大学院にも進学。
その後、JSBAスノーボードA級インストラクター資格を取得し、ラウンドスノーボードスクールの立ち上げに参加。現在は、スノーボードアクセサリー&アパレルブランド「ROUND snowboard gear」の運営もされている方です。
この度、縁あって、ロジカルノーツに寄稿していただけることになりました。その第一弾として、「理学部ってどんな人が通ってるの?」について教えてもらいました。
理学部=桃源郷??
さて、高校を卒業したら、その先どうしようか。
とくにこれといった明確な目標があるわけではない。そんなとき、就職するまでの間、「とりあえず」大学に進学してみよう、と考える人は少なくないでしょう。実際、大学での授業や生活は高校のそれとはまったく異なるものであり、入学してからでないとわからないことが多い。
しかし、だからといって「とりあえず」の気持ちで決して来てはいけないところが理学部です。その理由を話すには、まず、「理系」という広いカテゴリーの中での理学部の位置づけを説明させていただきたい。
理系学部三分類(注:個人的見解です)
私の独断と偏見によると、理系の学部への進学を考えている人たちは、大きく以下の3つに分けられます。
1つは、医師、看護師、歯科医師、薬剤師、獣医師などになるための受験資格取得を目的としている人たち。医学部、歯学部、薬学部、獣医学部などを受験する人たちがそうです。
もう1つは、将来働きたい業種がある程度定まっていて、それに関連した知識を身につけたい人たち。情報学部、工学部、農学部、建築学部など様々。
最後は、理系のなんらかの科目が好きで、それをもっと深く学びたいという人たちです。そう、そんな人たちが集まるのが理学部です!
ざっくりとした分類ではありますが、理学部が理系の中でももっとも仕事に直結しない学部であることは一目瞭然です。
つまり、
「なんとなく。」とか、「数学はそんなに好きちゃうけど一番成績ええし理学部でいいか。」とか、「あの大学に入ったらモテそうやし学部はなんでもええわ。」とか、そういった理由で選んだらえらいことになるのが理学部なのです。
興味がないと・・・
最初に残念なことをお伝えしておきます。「理系=かっこいい」というイメージがあるとすれば、それはおそらく理学部には当てはまらないということです。
さらに理学部各学科の募集人員は、一般的な文系学部より少ないことがほとんどです。もし、その少人数の中で、その分野にまったく興味がない人がいたとすると、完全に異質な存在となるでしょう。文系の学部であれば、大学生活4年間の中で自分のその後の人生を模索しつつ過ごすことができますが、理学部では、入学と同時に、自分の選んだ科目にどっぷりと染まっていくのです。
興味が無ければ地獄の4年間となること間違いなしです。
このように、理学部という学部は、深く学びたいほどの興味がないのに選択しちゃまずい、ということはうっすら伝わったかと思います。
と、ここまで話すと、まるで私が理学部を良く思っていないかのような誤解を与えてしまいそうですが、言いたいことは逆なのです。 理学部というところは、ちゃんと望んで入学してきた人たちにとっては、受験をクリアして到達した桃源郷のごとく、すばらしい場所なのです。
理学部のすばらしさ
一転して理学部のすばらしさを伝えるために、少し自分の話を挟ませてもらいます。
私はもともと動物(哺乳類)が好きで、とくに動物の「行動」に興味をもっていました。なぜこの動物はこの行動をとるのか、それが何に起因しているのか、など。観察や遺伝子分析を通じて、それを追求したり、何かを発見したり、広めたりすることができればと思い、理学部の生物学科に入学しました。
「上記のような希望を叶えられる場所が理学部なのです。だから理学部はすばらしい。」
そうくると思いますよね。
違うんです。
そこじゃない。
自分のやりたいことに近いことを勉強できるのは「当然」なのです。だって自分で大学と学部を選択して、受験して、学費まで払ってるんですから。
じゃあ一体何がすばらしいと感じているのか。
少数派で素敵な仲間たち
私が思う理学部の素敵ポイントは、「自分と同じように生物という科目が好きで集まってきた人たちとともに、好きなことを学ぶ環境がある」ということなのです。
理科の中でも、とくに「生物が好き」は少数派です。ましてや、高校生物だけでは足りず、さらに大学でもそれを学びたいとなると、おそらく同志を見つけることは極めて困難でしょう。
しかし、理学部生物学科は、そんな人たちの集まりなのです。
入学した瞬間から湧きあがる仲間意識。
今まで特殊扱いされていた嗜好が許容されることの喜び。
偏った知識であっても臆することなく表現できる解放感。
それらを共有することで学科全体に広がる謎の一体感。
プラナリアについて夢中で話しても、「わかるわー」と共感し合えたり、どの柄のウミウシが好きかで盛り上がることができたり、解剖の合間にランチしたり、飼っていたセンチュウが全滅してしまって一緒に悲しんだり、、、
つまり、周りの目を気にすることなく、無理せずに自分の「好き」を追求できるのです。自分がやりたいことをやれる場所、だけでは大学としてはあまりに普通の場所です。理学部はそれを共有したり、助言をもらったり、励ましあったりできる、世間一般でみると少数派で素敵な仲間たちに出会える楽園なのです。
誤解しないで!
ここまでの話で、読者の方々とだいぶ心の距離があいてしまったのではないかという不安が拭えませんが、一つ、誤解してほしくないことがあります。
生物学科だからと言って、「生物だけ」が好きなわけではないということです。
おしゃれ好きな人がいたり、サッカー観戦が好きな人がいたり、冬はずっとスノーボードしてる人がいたり、ほとんどの人がなんらかのサークルや部活動に参加し、みんな趣味は趣味でいろいろ持っているのです。
ただ、一般的に出回っている以上の知識を得たいと思えることが「生物」だという共通点があるので、妙に結束が強いというだけのことです。
たとえるならば、なんらかのアイドルグループのファンクラブの集まりのようなものなのです。同じアイドルが好きだという共通項があると、一緒にいて心地いいし話も盛り上がるでしょう。でも、それぞれ微妙に推しが違うでしょうし、他のグループのことも好きだという人だっているでしょう。
たった1つのことだけが生活のすべてだというわけではなく、いろんな個性や趣味をもった人が、ある共通点をもって一時的に集まっているのだと思います。
うっかり長くなってしまいました。。
上記の内容はあくまでも私の個人的な見解ですが、理学部にはどんな人たちが集まるのか、についてぼんやりイメージしていただけたでしょうか。
次は、その理学部(生物学科)で、実際にどんなことをどうやって学んでいるのか??ということを具体的にお話ししたいと思います。
ちょっと気になり始めた人は、ぜひ次の、「理学部の歩き方~どんなことを学ぶの? 」をご覧ください。
(ひろっこりー)