現在、イタリア留学中の「とあるキリスト教教会関係者」さん。コロナの影響で、思いもよらない留学生活になってしまわれました。
「いまどのような勉強をしているのか」について教えてもらいました。
語学学校がきちんと始まって、2週間ぐらいが経った。3月からオンライン授業は始まっていたので、オンライン授業に少しは慣れていたが、新しい先生の話すスピードに慣れる必要があった。幸い、数日で耳は慣れたので全部は理解できないにしても、不安はなくなった。
日本でもオンライン授業が始まっているところもあると思うが、これはなかなか難しいものがある。
クラスの空気を推し量ることができないのが私にとって一番辛いところである。また、少しでも気を抜くと一気にわからなくなるし、今までは教室に行けば良かったが、自室では環境を変えることができないので、周りに色んな「誘惑」がある。従って、かなりの集中力と忍耐力が要求されるとも思う。
【クラスの雰囲気】
今私はB2クラスに在籍している。B2クラスの程度を説明するのに、どのサイトを参照して良いかわからなかったので、とりあえずWikipediaを引用する。レベル名は「実務に対応できる者・準上級者」となっていた。果たしてあと2ヶ月半で、私も「準上級者」になれるのだろうか?
この説明が正しいかどうかは別にして、前のB1クラスの時と合わせた感触を述べてみたい。
ラテン語系を母語としている人と、そうではない人とで区分けしたら良い気がした。
もちろん、ラテン語系を母語としていても、イタリア語とそれ以外の言語とでは違いもあるが、「まだ近い」のだ。だから、彼らは母国でイタリア語の勉強をしていなくても、B1クラス(B2クラスの前段階)で勉強することが容易である。
一方、同じヨーロッパでもラテン語系を母語としていない人、私のように全く言語体系が違う国から来ている人(学生たち)は、イタリアに来る前に大体2年ぐらい勉強をしてからB1クラスでの授業を受けている。
私は日本でイタリア語の勉強を10ヶ月で50時間ぐらいしかしていない(私が優秀であると言いたいのではない!)。先生は「このクラスにいるということは、それだけわかっているよね」という前提で授業を始めるのだ。従って、私のような者はついていくのに必死なのである。
ここで気づいたのは、個人差はあるだろうし、留学に割ける時間とお金の問題もあるのは百も承知であるが、ある程度真面目に勉強することを前提とすれば、現地で集中的に勉強することによって2年間母国で勉強してきた人たちに追いつくことは可能であるということだ。さらに、私の場合は生活圏内で日本語を話すことができなかったのが幸いしていると思う。
【授業の内容】
オンライン授業のせいなのか、先生の性質なのか、クラスのレベルか、何が要因なのかわからないが、基本的に課題を出されて、それを前もって準備し、授業で答え合わせと発展的な説明を受けるというのがこの2週間のスタイルとなっている(同居しているB1クラスの友達に聞いてみると、彼の先生はテキストを使いながら文法の説明をしているようだ)。
今までは、文法問題なら、「これは〇〇についての問題です」みたいな説明があったので、頭をそれだけに絞って考えることができた。至れり尽くせりだったのだ。しかし今のクラスでは、「この文には何かまちがいがあるから、それを直しなさい」のように、ちょっと攻められている感じのする問題なのだ。前置詞・動詞・時制・コロケーション・・・どこが間違っているか、自分で気づかないと始まらない。1枚のプリントを仕上げるのに、時間がかかりすぎてしまう。
また、「聞き取り」でも、今までは設問にある言葉に限りなく近い表現が読まれていたので、探すことは容易であったし、設問の上から順番に答えていけばよかったが、今のクラスでは、順番も違えば表現も同じでない。塾講師として働いていたとき、クラスのレベルによって出題の難易度やパターンを変えていたが、それが今になって自分に返ってきていることを痛感している。やられてみると辛いことがわかる(涙)。
宿題の質も今までと変わってきている。今まではどちらかというと「受動的」な宿題だったと思う。主に文法問題だったが、「イタリア語に慣れる」という観点では良かったと思う。しかし、今はお題を与えられて「書く」ことが求められる。先生は楽だと思う、お題を用意すれば良いのだから(笑)。しかし、生徒の側は、「何を書くか」に加えて「どのように表現するか」を常に考えなければいけない。
ここで思うのは、今は「何を書くか」に割く時間はないということだ。
それは私が「どのように表現するか」に時間がかかるということもあろうが、書く内容は常にストックしておかないと、書くネタに困るのである。その意味で、(私は日本人だから)常に日本の情報を仕入れ、日本とイタリアの対比や、宗教事情など考えておかないと宿題をするのにも困る。
今はコロナウイルスのことで話題に困らないが、先生が「日本の薬」のことをふってきたときに、「アビガン」と答えるためには、新聞やニュースを追ってないと答えられない。これは、少し前になるが、某国の最高指導者の話になったときも同じであった。常に目を外に開いておく必要がある。
宿題も大変だが、何よりも大変なのは「瞬発力」である。宿題は準備する時間があるが、授業では、急に振られたときに意見を述べなければならない。うまく答えられないでいると、すぐ次の人に行ってしまう。
この「間」の時間がクラスが上がるにつれて短くなっている。いかに自分の考えを伝えるか、これが課題である。
(とあるキリスト教教会関係者)