新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、さまざまな学習塾・予備校においてリモート授業が行われています。
「学校の授業が進まなくても、どうせ受験はあるし・・・」
このような不安を抱えた人が、少しでも前向きに頑張れるように。
ロジカルノーツでも、休校状態の中で高校に入学した人に向け、高1・2生を対象とする医学部予備校の宮澤崇久代表(科目:英語)から頂戴した自宅学習教材を公開しています。
今後、公教育の現場でもリモート授業の環境が整えられていくと予想されます。大阪府の吉村洋文知事が「6月中に府立高校でオンライン授業を導入する」旨の発言をしたのも記憶に新しいところです。
リモート授業が進むことによって、さまざまな理由から生じている教育格差の問題が解消に向かうかもしれません。「いつでも・どこでも・誰でも」教育を受けられるようになる可能性を秘めたリモート授業について、ロジカルノーツはポジティブな意味で注目しています。
しかしながら、リモート授業の実施については手探り状態であることも否定できず、その運用次第では更なる格差が生まれるのではないかという危惧もあります。
このようにリモート授業のあり方について考えていたところ、大学1年生のKさんから連絡がありました。
「頑張って入学したのにリモート授業しか受けてないので、大学生としての実感がないです・・・」といった話になり、リモート授業についての体験レポートの執筆をお願いしてみました。すると、「どこにも行けないしゴロゴロしてるだけで、ぶっちゃけ暇なので、私でよかったら書きますよ」と快諾。
最高学府が実施しているリモート授業の内容は、これからの運用等を考える材料になると考えましたので、今回、公開させていただきます。
入学式前日の連絡
今春、私は、念願叶って大学へ進学したのですが、入学式前日に大学から連絡がありました。入学式中止と1ヵ月間のリモート授業の連絡です。
コロナウイルスのため、友人が進学する大学の入学式が次々と中止になる中、私の大学からは連絡がなかったので、「どうなるんだろう」と思っていたところでした。
リモート授業の決定がかなり直前の連絡によるものだったので、まずリモート授業を受けるためのパソコンを急いで用意しなければなりません。とりあえず親が持っていたノートパソコンを借りてリモート授業を受けています。
そして1ヵ月が経った先月末、さらに1ヵ月今の状態が継続されると決定。少しリモート授業にも慣れてきたところですので、受験生の時から愛読してきたこのロジカルノーツでリモート授業の体験記を書こうと思い、今回、筆をとりました。
私の受けているリモート授業
私が受けているリモート授業は、主に次の3つのタイプです。
- pdf形式の授業資料を読む
- 講義動画(音声あり)を観る
- 録音を聞きながら資料を読む
先生によってやり方は異なりますが、いずれの授業においても様々な形で課題が出されます。
このように、私の大学ではzoomなどを利用しないため、リアルタイムでの出席は必要ありません。動画が配布されるサイトにログインすることで「出席」扱いになる授業もあるのですが、きちんと自分が「出席」となっているかの確認ができず不安です。
好きな時間に勉強できるのはうれしいですが、強制力がないので生活習慣が乱れる原因になります。また、先生の目もない部屋で授業を受けていますと、つい他のことに手が伸びてしまいます。例えば、スマホをいじったり、絵を描いたり、窓の外を眺めたり・・・。(これらの点については、自分に厳しい人にとっては関係ないと思います笑)
「pdf形式の授業資料を読む」タイプの授業では、実際に授業を受けることによって明らかとなるポイントや覚えるべきことがわかりません。
大学入学までに私が受けてきた授業では、「先生が何度も言うところは重要なのかな」と感じたり、先生の雰囲気から雑談との区別をつけたりすることができました。先生も、生徒がわからなそうならもう一度説明したり、生徒を当てて答えさせたりする・・・こういった先生の配慮は、私たち生徒の理解を助けてくれました。
リモート授業を受けてみて、対面授業の良さを改めて実感します。
また、どの授業においても先生の様子を見ることができないため、いまだに先生の顔を一人も見たことがありません。声だけを聞いてもう1ヵ月も授業を受けている状態を不思議に感じることがあります。
メールを通じて個人的に先生とやり取りをすることは可能で、質問をすることもできます。しかしながら、対面授業とは違い、授業後に質問してすぐ解決することができません。
リモート授業では補えないこともあります
次に、教科ごとに思うことをいくつか書きたいと思います。
まず、第二言語の授業。これは大学生になって初めて経験する授業であり、その言語に初めて触れる時です。
音も初めて耳にするものですので、録音ではなく、先生が発音するときの口の動きも併せて見たいなと思います。そうでないと何か感覚がつかめません。(ここはうまく説明することができないので、伝わりにくいかもしれません)
次に、早期体験実習。私が在籍する医学部では早くから医療現場を見学するプログラムがあり、本来、学生が白衣を着て病院内の様々な科を見学する授業です。医学生らしい体験で、普段入れない場所を見ることができるのでとても楽しみでした。
しかしながら、実際に病院をまわることは中止となり、これもリモート授業になりました。かなり短縮された各科の紹介動画だけでは、院内の雰囲気も感じることができないし、見学しているという実感がわきません。
このように実際に体験することに意味がある授業はリモート授業では補えないと思います。
他大学の友人ともリモート授業の話をします
他大学へ進学した友人とリモート授業について会話すると、zoomを利用した授業が多いように感じます。リアルタイムで画面越しに先生が講義をし、生徒がそれを視聴。先生が生徒の顔を見ようと思えば見ることができるし、生徒の出席もより確実なものとなり、対面授業に近い気がします。
しかし、zoom授業を受けている友人は、授業の進行にメモなどが追いつかない時があると言っていました。先生が全体を見ることができないし、授業を受けている生徒の雰囲気が伝わらないからかなと思います。
この点、私の受けているリモート授業では、授業を一時停止したり巻き戻したり、繰り返し聞いたりすることができるので不満に思うことはありません。また授業資料・映像を保存することもできるので、復習するには便利です。
また、友人の受けているzoom授業では、生徒それぞれが自分の音声を切ったり入れたりすることができるため、どうしても誰かのノイズが入ってしまうことがあり、先生の声が聞こえない時があるそうです。
このようにリモート授業のやり方は様々で、いずれにも利点と欠点はあると思います。
友人の中にはまだ授業が始まっていないところもあります。このようにリモート授業への対応が遅く進度に差が出たり、リモート授業自体は始まっていたとしても、その充実度に差があります。これを改善することは大学に関わらず、小中高においてもこれから課題になると思います。
早く日常に戻りたいです
今回のコロナウイルスの感染拡大の出来事は、多くの人の電子機器を使う能力を上げ、リモートワークが普及するきっかけになると思います。学校でもリモート授業が広がるかもしれません。
しかし、私は、同級生と同じ空間で授業を受けたいです。
なぜなら、周りに人がいるほうがモチベーションが上がるし、何よりも面と向かって人と話すことが楽しみの1つだからです。
現時点では、私がリモート授業を受けるのは「あと1ヵ月」ということになっていますが、今後どうなるかわかりません。大学が通常に戻っても、バイトをしたり友人と遊んだりできる日はいつになるか不安です。
今は家でできることを考えながら、たまに友人とテレビ電話をして、日常に戻れる日を待ちたいと思います。
(Kさん)