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【LESSON 01】「列挙」の言葉 - ほんの少し先の未来を見る「先読みリーディング」の技術

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【例文1】

 


 おいしいラーメンについて語りたいと思う。まず、考慮しなければならない要素が「スープ」である。最近の流行である「つけめん」であれば、「タレ」と言ったほうが適切かもしれない。とにかく、麺や具材ではない液状のものだ。


 そもそも、人は何を求めてラーメンを食べようとするのか。


 腹を満たすためだけであれば、牛丼を腹一杯食べればよかろう。麺類を食べたいだけであれば、立ち食い蕎麦のほうが安くて早い。


 さまざまな味が混ざり調和しているスープとともに麺を味わいたいとき、人はラーメンを食べようと思う。だからこそ、おいしいラーメンについて語るときに「スープ」は外せないのだ。

 

「まず」の後には「続き」がある

 


さて、この【例文1】を読んだとき、どこに注目しましたか?


先読みリーディングの観点からは、第2文の「まず、」という表現に注目したいところです。なぜなら、「まず」の後には「続き」があるから。ラーメンのスープについてのみ語りたいのであれば、「まず、」とは言いません。無駄だからです。


きちんと作られた文章であれば、「次に、麺・・・」のような「スープ」以外の考慮要素が示されるはずです。

 

どの時点でどんな予想ができるのか

 


細かく考えていきましょう。

 

こだわりたいのは「○○を読んだ時点でどのような予想ができるか」です。


【例文1】では、「まず、」の後に、「なぜスープについて語りたいのか」の記述が長々と続いています。これは。ついつい「何の話だったっけ?」ということを忘れてしまいかねません。


では、ひっかからないために、「まず、」を初めて読んだ時点で、どのようなことを考えればいいのでしょうか。説明のために「まず、」の前の記述を確認します。


おいしいラーメンについて語りたいと思う。まず、


第1文で「おいしいラーメンについて語りたい」と書かれており、「何の話をしたいのか」明示されています。なので、(少なくとも当面の間は)「について」の直前で示された「おいしいラーメン」が話題です。


その上で、「まず、」と述べられていますので、この時点で「おいしいラーメンについての語りの中に、『複数のポイント』が示されるはずだ」という予想ができます。


次に、「まず、」で始まる第2文を確認しましょう。


まず、考慮しなければならない要素が『スープ』である。


「まず、考慮しなければならない要素が」を読んだ時点で、第1文目とあわせ考えると、「おいしいラーメンについて語るために『考慮すべき要素』が『複数』示されるはずだ」という予想ができます。


そして、その「考慮すべき要素」の1つ目が「『スープ』である」と示されていますので、「【例文1】の文章を読んでいけば、おいしいラーメンについて語るために『考慮すべき要素』として、『スープ以外のもの』が登場するはずだ」予想できます。

 

「何の話をしているのか」が重要

 


さて、「スープ以外のもの」としてどのようなもの登場しそうでしょうか?


「要素」という言葉に注目します。


辞書で調べれば、「要素」という言葉の意味はいくつか出てきますが、共通して言えるのは「全体の中の一部」ということ。いま「おいしいラーメン」について語っている場面ですので、素直に読めば、「おいしいラーメン」全体にあたります。この「おいしいラーメン」の一部にあたるもの「要素」となります。


気をつけたいのが、あくまで「ラーメン」の話だということ。


醤油ラーメン、味噌ラーメン、豚骨ラーメン・・・のような「特定の種類のラーメン」についての話ではありません。なので、味噌や豚骨など、「特定の種類のラーメン」についてのみあてはまる要素が登場することはなさそうです。


「(ほとんど)すべてのラーメンにとって『要素』と言えるものが登場しそうだ」


【例文1】冒頭2文を読んだ時点で、このような予想ができます。

 

筆者の意図に迫る

 


【例文1】第1段落を確認してみましょう。


おいしいラーメンについて語りたいと思う。まず、考慮しなければならない要素が『スープ』である。最近の流行である『つけめん』であれば、『タレ』と言ったほうが適切かもしれない。とにかく、麺や具材ではない液状のものだ。


第4文「麺や具材」と書かれています。ここで具材「スープ(・タレ)ではないもの」として登場。わざわざ当たり前のことに言及した筆者の意図を考えると、具材は、「スープ以外の考慮すべき要素」として示される可能性が高いと言えるでしょう。


気にしておきたいのは、具材について、その具体的内容に言及していないということ。


には太麺細麺などがあり、具材にはチャーシュー海苔などがありますが、こういった具体的内容を示すと、「(醤油・味噌・豚骨など)特定の種類のラーメン」の話になってしまいかねません。


この点においても、やはり【例文1】「特定の種類のラーメン」の話ではなく、「ラーメン」というものについての話をしたいのだと判断できます。

 

その他の「列挙」表現

 


今回、「まず、」という表現を取り上げましたが、同様のことは、次の表現においても言えるでしょう。


まずは/第1に/第1は/1つ目に/1つ目は/最初に/はじめに/

 


~~~

 

「まず」とか「1つ目」と書かれてあれば○で囲むテクニックは習ったことがあります。後で確認しやすいように。

いいですね。「まず」に注目する習慣がつくと思います。でも、後で確認するだけなのはもったいない。「次は○○がくるはずだ」と思いながら読み進めれば、実際に「○○」を目にしたときに注目することができます。予想が外れて「○○でないもの」が登場したとしても、「あれ?」と思うことで注目できますので、いずれにせよ文章のわかりがいい状態を作ることができます。「気にしながら読み進める」というのがコツですね。

 

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