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【LESSON 03】「意見」の言葉 - ほんの少し先の未来を見る「先読みリーディング」の技術

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【例文3】

 


 評判のラーメン店では、開店前から長い行列が発生することも多い。私の知る限り、その店舗の私有地ではなく、公共の道に列をなす。これが常態化している場合、ベビーカーや車椅子を使用する者にとって、その道は存在しないに等しい。


 このような事態は地域住民の暮らしに悪影響を及ぼすのであるから、厳しく取り締まるべきだ。

 

第1段落の分析

 


第2段落「…べきだ」とありますので、【例文3】「意見」を述べたものだと位置づけられます。また、「厳しく取り締まる」ことを主張していますので、「意見」の中でも「解決・改善に関する意見」にあたります。


ある程度、読み慣れた人であれば、第1段落を読んだ時点「解決・改善に関する『意見』が述べられるのだろうな」という予想がつくのではないでしょうか。

 

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まずは、第1段落「先読みリーディング」の発想で読んでいきます。

 

第1文

 


「評判のラーメン店では、開店前から長い行列が発生することも多い。」


これは状況説明の文であり、「事実」を伝えたものです。これを読んだ時点では、「そうだよねー」くらいのことを思うだけで十分です。

 

第2文

 


「私の知る限り、その店舗の私有地ではなく、公共の道に列をなす。」


「私の知る限り」とありますので、「『私』の視点からの記述である」ことが明示されています。これを読んだ時点で、「もしかしたら『私』の意見が続くのではないだろうか」と思いたいところです。


「私の知る限り」「その店舗の私有地ではなく、公共の道に列をなす」と続きます。


「公共」の話をしていることに着目しましょう。店舗の私有地で並んでいるならば問題ありませんが、「公共の道」は、言わば「みんなの道」です。ラーメン店に用がないにとって、そこに発生した「長い行列」は、移動の妨げになります。


「ここに『私』の問題意識が示されている」と考えることができれば、「この問題に関する『私』の意見が続くだろう」予想しやすいでしょう。

 

第3文

 


「これが常態化している場合、ベビーカーや車椅子を使用する者にとって、その道は存在しないに等しい。」


文末「存在しないに等しい」という言葉。「存在しない」という「事実」を伝えたものではありません「実際は『道』が存在しているけれども、存在していないのと同じ状態だと思う」といったことを伝えたものであり、これは「私」による「評価」です。


【例文3】の場合、ベビーカーや車椅子を使用する人が困るという話ですので、「マイナス評価」を下している状態です。

 

第1段落のまとめ

 


第1段落の流れを確認してみましょう。

 

  • 第1文:状況の説明(どのような事実があるのか)
  • 第2文:「私」の視点(事実をどのように見ているのか)
  • 第3文:マイナス評価(どのように評価しているのか)


この流れをおさえれば、「よくない状況をどうにかするための、解決・改善に関する『私』の意見が続く」予想できるでしょう。少なくとも、その可能性はあると認識した状態で読み進めることができると思います。

 

第2段落

 


第2段落を確認します。


「このような事態は地域住民の暮らしに悪影響を及ぼすのであるから、厳しく取り締まるべきだ。」


最初に「このような事態」とありますね。「事態」という表現は、基本的には「よくないこと」を表現するものですので、第1段落のような状況についてのマイナス評価再確認しています。


その上で、「厳しく取り締まる」という「解決・改善の意見」が述べられています。


そろそろ本題に入りましょう。【例文3】の後には、どのような話が続きそうでしょうか?

 

主張には、それをサポートする情報があるはず

 


結論を言うと、なにかしら「意見の言葉」に接した時点で、「『理由』や『例』が示されるだろう」と予想したいところです。


「○○すべきだ」といったことを言うだけでは、なかなか他者に伝わりません


「理由」や「例」を示すことで、考え方等の異なる相手「そうだよねー」共感してもらえる可能性が高まります。そんなひと手間をかけて文章が作られている、そう信じて読み進めましょう。


もし「理由」や「例」が示されないまま終わったとしたとしても、「この意見には理由や例がなかったな…」という感想を抱けますし、それはそれで重要な読解だと思います。

 

どんな「理由」や「例」が続く?

 


では、【例文3】の後、どのような「理由」「例」が示されそうでしょうか?


「厳しく取り締まるべきだ」とする【例文3】の場合、「理由」としては、大きく次の2パターンが考えられます。

 

  1. (ⅰ)「取り締まるべきでない」という立場に向けたメッセージ
  2. (ⅱ)「厳しくなくてもよい」という立場に向けたメッセージ

 

(ⅰ)「取り締まるべきでない」という立場に向けたメッセージ

 


「取り締まる」ということは、(店舗やその顧客以外の)第三者から「並ぶな」と口出しするということ。行政による介入をイメージするとわかりやすいでしょう。


【例文3】「厳しく取り締まるべきだ」という意見に対しては、「ラーメン店の行列に関して第三者がとやかく言うべきでない」という反論も想定されます。「公共の道を使用する権利はラーメンを食べたい人にもある」「近隣住民からの評判が下がるのを避けようとして店舗側が整理券配布等の対策をとるのを待てばよい」などが論拠でしょうか。


(ⅰ)は、こういった「取り締まること自体を否定する立場」に向けたメッセージです。「公共の道」のあり方等を論ずる流れが想定されます。

 

(ⅱ)「厳しくなくてもよい」という立場に向けたメッセージ

 


「厳しく取り締まるべきだ」という言葉に接しても「だから、なに?」となります。具体的内容が示されていなければ「なにを言いたいのか」が伝わりませんし、「どういう意味で『厳しく取り締まる』という言葉を使っているのか」がわかりません。


そのため、「【例文3】の後には『例』が示されるのではないか」という予想もできます。


そして、その具体例の内容に対しては「そこまで厳しくしなくてもいいんじゃないの?」という反論も想定されますので、「厳しくすべき理由」が示されそうです。


「厳しく規制しないと問題は解決しない」「(類似ケースに対する規制を示した上で)同様の厳格さをもって対処すべき」などの話がくると予想できます。

 

前回のレッスンでも思ったんですけど、場合分けが多いですね。

「先読みリーディング」は不確定なものを推察しますので、場合分けの発想はとても重要です。慣れるとそんなに大変なことではありませんので、頑張っていきましょう。

 

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