ロジカルノーツ - logical notes

2020大学入試改革!英語4技能と論理的表現のあり方を考察

京都大学2018(前期)英語【Ⅲ】(5)

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次の文章を英訳しなさい。途中の下線部には、ふさわしい内容を自分で考えて補い、全体としてまとまりのある英文に仕上げなさい。下線部の前後の文章もすべて英訳し、解答欄(約12cm×12行)におさまる長さにすること。(25点)


海外からの観光客に和食が人気だという話になったときに、文化が違うのだから味がわかるのか疑問だと言った人がいたが、はたしてそうだろうか。                                             。さらに言うならば、日本人であっても育った環境はさまざまなので、日本人ならわかるということでもない。


今回の記事では下線部の部分の英語化について考えたいと思います。下線部に入れる日本語には、京都大学2018(前期)英語【Ⅲ】(1)の<議論①>で示した「確かに、長い時間をかけて作られてきた和食文化については日本で生活している人のほうが理解しやすいかもしれない。しかし、味がわかるか否かは個別的問題であり、また、和食料理が海外で提供されていることも考慮すると、観光客の中には和食の味がわかる人もいるはずだ。」を用いたいと思います。


便宜上、次のように分けて考えます。

 

  • ①:確かに、長い時間をかけて作られてきた和食文化については日本で生活している人のほうが理解しやすいかもしれない。
  • ②:しかし、味がわかるか否かは個別的問題であり、また、和食料理が海外で提供されていることも考慮すると、観光客の中には和食の味がわかる人もいるはずだ。

 

「味がわかる」とはどういうことなのか?

 

まず、和文英訳したものを示します。この英文はほぼ直訳的に英語化したものです。


① It is true that people living in Japan would find it easier to appreciate Japanese food culture that has been developed over a long period of time.② It is, however, a personal matter whether one can enjoy eating something or not, and, considering Japanese dishes being served in other countries, some of the visitors from abroad may enjoy them. 


この解答例から考えてみたいのは「味がわかる」に該当する英語部分です。


①では「理解しやすい」の部分に「appreciate」を、②では「わかる」に対して「enjoy」を用いています。これらの英語は解答例の中におけばもちろん意味を成すわけであり、適当な英文と言えるでしょう。しかし、ここでは「味がわかる」という表現の意味するところをもう少し考えてみたいと思います。


①の日本語では「確かに、長い時間をかけて作られてきた和食文化については日本で生活している人のほうが理解しやすいかもしれない。」とあります。これを「確かに、長い時間をかけて作られてきた和食文化を日本人のほうが好きになりやすい」と考えたときに生じる違いは文脈上大きなものでしょうか。


②の日本語「しかし、味がわかるか否かは個別的問題であり、また、和食料理が海外で提供されていることも考慮すると、観光客の中には和食の味がわかる人もいるはずだ。」も簡単に表現して「しかし食べ物の好みは個人の問題であり、和食が海外でも食べられていることを考えると、観光客の中にも和食が好きな人もいるはずだ。」とするとどうでしょうか。

 

  • ①':確かに、長い時間をかけて作られてきた和食文化を日本人のほうが好きになりやすい。
  • ②':しかし、食べ物の好みは個人の問題であり、和食が海外でも食べられていることを考えると、観光客の中にも和食が好きな人もいるはずだ。

 

「これ美味しいね。」= This is delicious. ?


ここで次の英文を見てみましょう。


ex.) I like this soup, Mom. 


状況を考えると、スープを飲んでいる子どもが母親に対して話しかけていると想像できます。この英文をあえて日本語に直すのであれば、「ママ、僕はこのスープが好きだよ。」のように直訳的に直すことは可能でしょう。しかし、この子どもが伝えたいのは「ママ、このスープ美味しいよ。」という感想であるとも考えられます。もちろん、「Mom, this soup is delicious.」でも意味は通じますが、一般的に子どもが母親に使う言葉ではありません。


このことを踏まえて先ほどの①'と②'を英語にしてみると、以下のようになります。


①' It is true that Japanese are more likely to prefer Japanese food culture which has been developed for a long period of time. ②' It is, however, a personal preference whether one likes a particular food or not, and as Japanese food is eaten in other countries, some of the visitors from abroad may well like it. 


このように英語の観点から「味がわかる」の意味を考えてみると、下線部の解答例として挙げたように「味がわかるか否かは個人的問題である」と言えるかもしれません。その一方で、「旨味」という日本料理に欠かせない要素が英単語として多くの辞書に“umami”として掲載されています。辞書に定義されているのであれば、やはり日本人でない人にも和食の味が「わかる」ということなのでしょうか。

 

(鈴木順一)

 

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