ロジカルノーツ - logical notes

自分の言葉でものを伝えよう

道案内について - 2人の予備校講師(小論文&英語)の会話

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(ある日のディナータイム)


吉崎崇史(小論文講師)「最近は海外から観光に来られた方が増えましたねー。心斎橋の商店街を歩いていると、『すれ違う人のほとんどが海外からの観光客じゃないかなあ』と思う日が多いよ。先日、なんばでカレーを食べたんだ。そのお店は昔からあって年配の方が注文をとりに来てくださるんだけど、英語で観光客の方に対応されていたんだよね。10年くらい前はそうじゃなかったと記憶しているんだけど。その年齢になってから英語を勉強されたのかもしれないと思うと、ほんとうに頭がさがる」


鈴木順一(英語講師)「そうですね。目標に向かって頑張って勉強している高校生も立派ですが、社会人になってから限られた時間の中で勉強されている方にお会いすると『自分も同じ状況でそれができるのか』という気持ちになりますね。ひとりの人間として尊敬します。吉崎先生と一緒にトライアルゼミで社会人の方の看護学校受験のサポートをさせていただくようになって4年目を終えようとしていますが、いろいろな方の人生に触れ、僕自身が一番勉強させてもらっているように感じます」

 

  • トライアルゼミ:大阪心斎橋にある看護予備校。2014年の開校時から吉崎が国語講師と副代表を務め、鈴木は2016年から英語講師として主に社会人クラスを担当。

 

trial-seminar.co


吉崎崇史(小論文講師)「そう言ってもらえるとお誘いした側としては嬉しいです」


鈴木順一(英語講師)「トライアルゼミみたいに高校生と社会人が一緒に同じものを勉強する空間ってなかなかありませんよね。高校生は社会人からいろいろな話を聞けて、社会人は高校生から若さをもらって。受験という前向きな目標を前提に、お互いによい刺激を受けられる環境は勉強以外の面でも大きな意味があると思います。看護学校受験以外にもそういう場があればと思うんですが、高校生と社会人が勉強したいと思うものは違いますし・・・看護学校受験だからこそ、成立する環境なんですかね」


吉崎崇史(小論文講師)「高校生と社会人が前向きな姿勢で一緒に人生と向き合う場ってなかなかないよね。社会人が勉強するのは業務上の必要に迫られてっていうケースも多いし。案外、『この歳になって高校生とフラットな関係で過ごす時間の中で人生を取り戻しました』といった社会人受講生の方の感想も多いんだよ。最初はセカンドキャリアとしての看護師を目指して勉強していたのに、高校生との交流をきっかけに何かが変わったのか、思ってもみない出世をしたり、諦めていた夢が叶ったりして、看護とは違う道に踏み出した方もいるしなあ。看護予備校の運営側としてはよくないことなのかもしれないけど、それはそれで心から『おめでとうございます』って気持ちになるよ」


鈴木順一(英語講師)「そういった話をお聞きすると、看護学校受験ならではって感じがしますね」


吉崎崇史(小論文講師)「英語とかは高校生も社会人も関係なしで『勉強したい』って思うんじゃない?」


鈴木順一(英語講師)「たしかに。ただ、高校生が英語を勉強する目的は入試のためであることが多いですし、社会人が勉強したい英語とはズレが生じるのかなとも思います」


吉崎崇史(小論文講師)「そっかあ」

 

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鈴木順一(英語講師)「個人的には『英語は英語や!』という思いもあるんですが、英語を勉強したい目的が必ずしも英語圏の人とコミュニケーションをとりたいというわけでもありませんしね」


吉崎崇史(小論文講師)「たしかになあ。我が身を振り返ると、受験生だったときは『テストで点数がとれればいい』としか思わなかったもんなあ。英語のスキルを身につけようとか考えてなかったよ。『このパターンのときはこれが答になるっぽいぞ』とか、センター試験の過去問集を買って答の番号だけを並べてみて『きっと次のテストでは問1の答は③になる流れだ!』とか意味のないことを考えて現実逃避して・・・」


鈴木順一(英語講師)「それはまた極端な(笑)」


吉崎崇史(小論文講師)「僕が学校で英語を習っていたとき、英語を使う人は『特別な人』って感じがして、そして、そんな『特別な人』になる人生は自分とは無関係だろうから『日本で生活をするのに英語を勉強する意味なんてあるの?』とか思ってしまって、頑張れなかったんだよね。いま思うと、もったいない時間の使い方をしたなあ。どうせ勉強しなきゃいけないんだったら、テストが終わった後にも役立つようにしたほうが人生は豊かになるのに」


鈴木順一(英語講師)「長く英語を教える仕事をしていると、『この人にとっての英語はどういう意味をもつのだろう』と考えるときもあります。受験が終わった後でも役立つように、英語と向き合う必要が生じたときに少しでも楽になるように、という思いで授業をしているのですが。シリーズ記事を書いてくださっている『とあるキリスト教教会関係者』ではありませんが、英語以外の言語に向き合う必要が生じたときにも英語は役に立つような気もしますし」

 

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吉崎崇史(小論文講師)「でも、最近は、海外からの観光客の方も増えてきましたし、入管法も改正されて、英語を使う場面は現実的なものになってきたんじゃないの?」


鈴木順一(英語講師)「そうですねー。僕の場合は、英語を教えたり、英語教材の執筆や和訳英訳を頼まれたりと英語を使う場面もあったのですが、仕事を離れて日本で過ごしているとき、日常で英語を使う場面はほとんどありませんでした。でも、最近は、プライベートの時間でも、英語で道案内を頼まれることが増えてきました」


吉崎崇史(小論文講師)「そういうときに対応できる人が多いと、観光客の方が日本によい印象をもって帰国し、リピーターになってくれそうですね。ここは英語講師として、その場から動いたりせず、英語だけでカッコよく道案内するの?」


鈴木順一(英語講師)「いやいやいや。『どこそこに行きたい』と言われても、そもそもその場所を知らないことも多いですし。『スカイビルに行きたい』とかであればいいんですが、このあたりで道案内を頼まれる場合、だいたいは『○○ホテルまで行きたい』といったものなんですけど、新しいところも多くてわからないですよ」

 

  • スカイビル:梅田スカイビルのこと。パルテノン神殿(アテネ)やコロッセオ(ローマ)などとともにTOP 20 BUILDINGS AROUND THE WORLDに選ばれた超高層ビル。

 

www.skybldg.co.jp


吉崎崇史(小論文講師)「言われてみれば、ホテルまでの道とかは日本語でも案内できるかというと難しい・・・。観光に来た人が行きたい場所と生活している人が詳しい場所って違うしなあ」


鈴木順一(英語講師)「そう。だいいち梅田あたりは道がややこしくて、阪急線の大阪梅田駅から『ホテルモントレ大阪へ行きたい』と言われても、言葉だけで説明するのは厳しいですよ。迷わないだろうところまで一緒に行って、最後に『ここをまっすぐ行ったら左手にあるよ』のような伝え方が親切な対応だと思います」


吉崎崇史(小論文講師)「なるほど。英語だけで道案内が完結することって多くはないんですね」


鈴木順一(英語講師)「そうなんです。しかも、最近ではスマートフォンでGoogleマップを示されることがほとんどで、そのときは、『現在地がどこなのか、目の前の道がどれなのか、どっちが北なのか』を説明することになります。このときには英語の力はそれほど要りません。で、そもそも不慣れな場所では地図を頼りにしてもわかりにくいことが多いから道案内を頼むわけですし、結局のところ、『わかりやすいところまで連れて行って欲しい』と思っている人が多いんじゃないですかね」


吉崎崇史(小論文講師)「じゃあ、道案内のときには、そこまで英語の力が要求されないってこと?」


鈴木順一(英語講師)「あくまで僕の実感にすぎませんが、道案内そのものに限ってはそうかもしれません。でも、途中まで同行する場合、ずっと黙ったまま一緒に歩くのもつまらないですし、そういうときには雑談しながら歩くのですが、このときに英語を使うって感じですね」


吉崎崇史(小論文講師)「へー。どんな話をするの?」


鈴木順一(英語講師)「たいした話ではないですよ。『どこから来たの?』『どんなところに行くの?』などの話から広がる感じです。ただ、その流れで僕自身の説明になることが多いですね。『何をしている人なのか』とか」


吉崎崇史(小論文講師)「まあ、不慣れな土地で知らない人に案内される立場になってみると、『この人に付いて行って大丈夫なのか?』ってなるもんね」


鈴木順一(英語講師)「たしかに。だから、そういう話になるのか(笑)」


吉崎崇史(小論文講師)「考えてみたら、特に梅田とかは高い建物も多くて見通しもよくなく、少し離れるだけで雰囲気が大きく変わるわけだし、そんなところで道に迷ってしまうとすごく怖い」


鈴木順一(英語講師)「海外からの方を案内するとき、少しの時間ではありますが、観光客の視点を想像して慣れたエリアを見るようにしているんですよ。そうすると、都市部って、『どこに何があって、どういうふうに行けばいいのか』ということがほんとうに複雑で」


吉崎崇史(小論文講師)「だからこそ、わかりやすいところまで同行するってことなんですね」


鈴木順一(英語講師)「ええ。でも、それが無理なときには『ここまで行って、わからなけらば他の人に尋ねてください』となることもあります」


吉崎崇史(小論文講師)「たとえば?」


鈴木順一(英語講師)「先日、JRに乗っているとき、隣にいた観光客の方のスマートフォンの画面が見えたことがありまして、どうやらその方は『西宮駅』に行きたい感じで。でも、その電車は『西宮駅』に行かないんですよ」


吉崎崇史(小論文講師)「えー、『西宮名塩駅』と間違って『三田行き』に乗ってしまったの?」

 

  • 西宮駅:JR神戸線
  • 西宮名塩駅:JR福知山線(宝塚線)


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鈴木順一(英語講師)「そうなんです。で、少し話してみると、『どうしたらいい?』ということになりまして。『尼崎駅で乗り換えれば大丈夫だよ』と伝えてもピンとこない感じでして。だから、『尼崎駅で降りて、西宮駅に行くためにはどの電車に乗ればいいのかを駅員の方に聞いたら何とかなるよ』と伝えました」


吉崎崇史(小論文講師)「その方はどちらから?」


鈴木順一(英語講師)「ドイツから観光に来られた方です。どのホームから乗ればいいのかも調べたらしいんですが、違う方面の電車に乗ってしまったそうです」


吉崎崇史(小論文講師)「そう言えば、最近、ドイツで電車に乗った人の話を聞いたなあ。あちらでも電車の乗り方は複雑みたいで、アナウンスだけを頼りにしなければならない場面があるんだって。『日本の電車は案内表示の情報量が多すぎて困る』とも言っていたけど」


鈴木順一(英語講師)「たしかに、『日本の駅での情報量は多すぎる』と海外から来られた方は感じるかもしれません。案内表示以外についてもそうかもしれません。駅では音声による案内もありますよね。僕がこれまでに訪れた外国では、音声による案内は最低限のものであるという印象があります」


吉崎崇史(小論文講師)「へー、そうなんだ。日本の駅における案内に慣れていると戸惑うこともありそうだね。困ったこととかあった?」


鈴木順一(英語講師)「いまでも思い出すのはロンドン旅行のときのことです。空港から滞在予定のホテルまで地下鉄を使って移動していたんですよ。まずは『ヒースロー空港』から大きな駅である『パディントン』まで、ヒースローエクスプレスという列車に乗って、『パディントン』からホテルの最寄駅である『マーブルアーチ駅』まで地下鉄に乗るという予定でした」


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吉崎崇史(小論文講師)「そういえば、昔、イギリスに長期留学してたって言ってたよね。ある程度の土地勘もあるし、困ることも少ないんじゃない?」


鈴木順一(英語講師)「普段であれば。念のため、ロンドン地下鉄の路線図も持って行きましたし、準備は万端。簡単に『マーブルアーチ』までたどり着けると思っていたんですよ。そしたら地下鉄に乗っているときにアナウンスがあり、『いちばん近道になるはずの路線が工事中で閉鎖されているために途中の駅で別の路線に乗り換える必要がある』とわかりました」


吉崎崇史(小論文講師)「えー、それは焦る・・・着いてすぐに予定外のことがあると、せっかくの旅行を楽しめなくなるかもしれないよね」


鈴木順一(英語講師)「だから、周りの人に聞いて、調べて、せっかくの休暇を楽しめるように頑張りました。日常生活の中でいちばん英語が役立ったと実感した瞬間でしたね」


吉崎崇史(小論文講師)「ホテルまでの移動時間がかかりすぎると、もったいないもんね。観光地と観光地の移動中に多少迷っても『それも旅行の醍醐味』と割り切って、少し街をブラブラして、意外な出会いを楽しむことだってできそうだけど、到着初日のホテルまでの移動で迷うと損した気分になるなあ」


鈴木順一(英語講師)「そうなんですよ。そう言われてみれば、日本でもホテルまでの案内を頼まれるケースが多いのは納得がいきますね」


吉崎崇史(小論文講師)「そのロンドン旅行の話みたいに、想定外のことがあって修正しなければならないときには、『読む・聞く・話す』といった力があれば、自分を助けてくれる情報を入手しやすそうですね」


鈴木順一(英語講師)「ええ。いろいろなテストで統合型問題が出題される意義を実感できました。『読む・聞く・話す・書く』という力はそれぞれ独立して必要だとは思いますが、それ以上に、4技能すべてが『互いに補完し合って生活の中での機能を果たしている』面もあるんだなと」


吉崎崇史(小論文講師)「なるほど。いま英語4技能を大学入試でどのように評価するべきかが話題になっているけれども、その具体的な方法についての議論を離れて、『これからの人たちがどのような英語力を身につけた状態で社会に出るのが望ましいのか』という問題を考えると、『読む・聞く・話す・書く』の各技能をシチュエーションに応じて発揮できる力が答のひとつなのかもしれないね。流暢に言う力よりも自分を助けてくれる気がする」

 

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鈴木順一(英語講師)「その『各技能をシチュエーションに応じて発揮できる力』を試すテストのあり方が難しい。いまのところ統合型問題が候補ではありますが」

 

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吉崎崇史(小論文講師)「そろそろ閉店時間ですね。今日もおもしろいお話を聞かせてもらってありがとうございました」


鈴木順一(英語講師)「こちらこそ。鴨の焼き鳥、おいしかったです!」


(吉崎崇史・鈴木順一)

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