皆さん、はじめまして。株式会社「ささげ屋」業務推進部部長の加藤輝真です。
この度、ロジカルノーツ様より「社会へ出る一歩前の人たちに向けた記事を書き、あなたの経験をシェアして欲しい」とのお声がかかり、本記事を書かせて頂くことになりました。このような大それた役目に抜擢して頂いたSenior Administratorの吉崎先生には感謝しております。
今回、私が頂いたお題というのが、「YES・NOの責任を引き受ける言語としての英語」と「私と留学とその後」というものでした。
YES・NOの責任を引き受ける言語としての英語
「YES・NOの責任を引き受ける言語」とはどういうことなのでしょう。それは「はっきり意思表示が出来る言語」と言い換えられます。
例えば、「リンゴは嫌いですか?」という質問に対して、日本語では「はい」と答えることが出来ます。同じ回答でも英語では「NO」となります。
日本人は英語で答える際に「NO」であるにも関わらず「YES(はい)」と答えてしまうのです。それは、この日本人の「YES」は言い換えるならば、「おっしゃる通りです」という意味で使っているからです。
英語と日本語の構造の違いが大きく影響しています。英語は、まず「結論」が先に来て、そしてそれを補うものが続く文章構造であるのに対し、日本語は、まず「プロセス」があり、その結果、「結論」が最後に来ます。
このことから分かるように、日本人ははっきり「NO」と最初に断定することが得意ではないのです。
日本人は全く違った表現で「NO」を表現することがあります。
「リンゴは嫌いですか?」
「普段あまり食べないですね」
このように相手に「この人はあまり好きではないんだろうな」と想像させるような表現を用います。日本人が大切にしている「思いやり」が関係しているのです。
「NO」と断定することで相手に不快な思いをさせてしまうのではないかという「思いやり」の気持ちが否定的な表現を極力使わないようにさせたのではないでしょうか。
私が海外留学をしていた際に、日本人とアメリカ人の違いを実感することがありました。
それは「MAYBE」という言葉の使い方でした。アメリカ人ははっきりと分からないことに対してのみ「多分(MAYBE)」を使うのに対し、日本人ははっきりと分かっていることにも断定しないように「多分(MAYBE)」を用いるのです。
最近では某大統領が「取引(DEAL)」という言葉を頻繁に使いますが、取引の際には意思表示をすることが求められます。自分の考えや意思を明確に伝えることはどんなシーンにおいても役立ちます。ビジネスの場合でも「MAYBE」がつく決断で得られる結果は、満足のいくものである可能性が低くなる傾向にあります。
決断とそれに基づく行動で得られた成功体験が自信になっていくのです。
ここで話を元に戻しますが、はっきりと「YES・NO」の意思を表現することのメリットは、自分自身の行動・思考と向き合い、自分に対しての理解が深まるという点です。「自分がどんな人間か」を理解することで、思いもよらない事態が起きても対処出来るようになれると思います。
相手を思いやって、「NO」とはっきり言わない日本人的な表現も決して悪いことではありません。しかし、もし今後あなたが「BIG DEAL(重要なイベント)」に遭遇した時には、しっかりと自分の中の「YES・NO」に向き合って答えが出せる、そんな人になって欲しいなと思います。
私と留学とその後
ここからはもう1つのお題「私と留学とその後」についてお話ししたいと思います。
私は現在「ささげ屋」という会社で働いています。そこに至るまでの様々な経験は全て「海外留学」から始まったものといっても過言ではありません。
高校生時代にプロサッカー選手を目指していた私は、周りの同級生が予備校に通い、受験勉強をしている中、勉強もそっちのけで毎日サッカーのことばかり考え、ボールを追いかける日々を送っていました。
進路相談の際にも、「受験勉強は一切する気もないし、模試さえも受ける気がない」と担当教諭に話をし、呆れられていたことを今でもはっきり覚えています。
しかしながら、プロの世界は厳しく夢半ばにして断念することになったのです。そんな夢破れた私が高校卒業後になぜ海外留学を選択したかというと、「どうせ今から勉強するなら『英語』で勉強しよう」と思ったからでした。
今まで使っていなかった脳みそはスポンジのように英語を吸収してくれ、幸いなことに半年間の猛勉強の末、TOEFLの必要点数を取り、晴れてアメリカの大学に進学することになったのでした。
私が専攻したのは写真で、日本人のいない学部だったせいか、毎日「生きた英語」に接し、アメリカ人の生活に溶け込んでいきました。本場で「YES・NOの責任を引き受ける言語としての英語」に触れる機会に恵まれました。
日本に帰国後は某古着量販店に就職し、バイヤーの責任者として、1年間の三分の一近くを海外で「取引(DEAL)」する日々。明確な意思表示をすることが求められる状況において「YES・NO」の大切さを実感することが出来ました。
同時に、私がいた頃からアメリカではADSLやケーブル回線を使った従来の電話回線の数倍の通信速度のインターネット社会が既に始まっており、日本でもネットで買い物をする時代がすぐそこまで来ていると考えていた私は、ネットショップを立ち上げ、責任者を兼務していたのです。実際に出店していない地域のお客様の為に「どのような撮影をし、採寸をし、商品原稿を書いたら売れるのか」ということへ興味が傾いていったのです。
そんな時、ネット通販サイト「Fashion Walker」の運営を請け負っていた「ささげ屋」という会社からお声がかかり、私は勤めていた某古着量販店から転職し、「ささげ屋」で働きだしました。
今でこそ、ネット通販業界ではよく用いられる業界用語の「ささげ」という言葉ですが、語源は「ささげ屋」に由来しています。「さ(撮影)・さ(採寸)・げ(原稿)」の頭文字をとった造語ですが、業界内で一般的になったこの「ささげ」も今では市場規模16.5兆円といわれるネット通販業界の中核を担う大事な仕事です。
直接商品を手に取って見れないお客様に対し、どこを撮影したら分かりやすいか(ポケットはどうなっているのか・裏地はどんな色かなど)、どこを採寸したら試着出来なくても買ってもらえるか、そして、どんな商品原稿を書いたら分かりやすいか(触り心地・コーディネート方法など)を考えていく中で大切なこと、それは「多分(MAYBE)」ではなく、確信を持ってお客様の求めているものを形にしていくということです。
ビジネスシーンにおいて「多分(MAYBE)」では不十分なのです。ライバルがしのぎを削る中、確信の持てないものでは淘汰されてしまいます。これは会社だけの話ではなく、個人としても社会の一員として働く際には必要なことです。明確な意思があるからこそ、困難を乗り越えることが出来るのです。
伝えたいこと
世の中には沢山の職業や役割が存在します。
日本人が生まれ持った「思いやり」も大切ですし、人としてそういった考えは私も必要だと思います。しかしながら、人は社会の一員として役割を担う時には、必ず明確な意思を持って、はっきりそれを伝えるということも大切だということ。これが今回の2つのお題を通じて皆さんにお伝えしたいことです。
もし人生の中で「大きなイベント(BIG DEAL)」に直面した時に少しこの話を思い出して頂けると嬉しく思います。
最後までありがとうございました。
株式会社ささげ屋
業務推進部 部長
加藤 輝真