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シュメル文明の第一次的ひろがり

「【読書会】マクニールの『世界史』を読む」第2回発表資料が完成しました。

 

  • 日時:2020年2月16日19時~21時
  • 会場:コモンルーム中津(大阪市北区豊崎3-13-5 TKビル)3階貸会議室(和室)
  • 図書:ウィリアム・H・マクニール「世界史(上)」(訳:増田義郎・佐々木昭夫)中公文庫(2008)
  • 範囲:69頁~104頁
  • 発表:鈴木順一(ロジカルノーツAdministrator)


<第1回目の発表資料>

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<第1回目の読書会の様子>

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<第1回目の感想> 

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今回の範囲は「シュメル文明伝播の第一次の様相」(マクニール「世界史(上)」68頁)である。言及されている文明は、メソポタミア文明エジプト文明インダス文明ヒッタイト文明ミノア文明巨石文明中国文明など多岐にわたる。


その中でも、私が特に着目した3点を発表したい。その他の部分については発表後の議論の中で話し合えればと思う。

 

遊牧民文化と農耕民文化の接触

 

概要

 
シュメルの土地に根付いた焼畑農業メソポタミア文明が繁栄する大きな要因の1つとなったが、その北部に位置するユーラシア大陸のステップ地帯では遊牧民的生活スタイルが広がっていた。遊牧民たちは肉食の習性を持つ敵から自らの家畜を守る必要があるために、首領を持ち全共同体を指揮する必要があった。このような生活様式から遊牧民には力や組織力に訴えるという習性が生じていった。


一方で、初期農耕民たちは共同社会生活を営む中で、平和的平等主義的であった。結果、この2種類の民がぶつかる際には、遊牧民の側が極めて有利な立場に立つことになった。しかし、ただぶつかり合うだけではなく、この対立から人類は刺激を受け、ユーラシア全体にわたる急速な社会の発展へとつながった。その発展の1つのきっかけとなったのが、犂の発明であった。


犂の発明によって、人間は家畜の力を用いて耕作が可能となった。その恩恵としては、穀物栽培民が完全な定着生活を送れるようになったこと、休作地を作ることによる土地の回復の加速化、一部の人間が直接労働から解放されたことによる文明のさらなる拡大が挙げられる。


このようにして、紀元前3500年から2500年の間にユーラシア大陸とアフリカ全地域で、大規模な穀物栽培が気候条件的に可能である地域であれば、文明が地理的に拡大していく基盤が作成された。

 

着目点

 

「そのような社会においては、人間の筋肉にだけ頼る労働力が家畜の力の補いをうけて効力を著しく増したため、少数ではあるが、ある人々が自給自足の直接労働から解放され、その結果、灌漑のおよばぬ土地にすら文明が波及するようになった。」


 - マクニール「世界史(上)」75頁


家畜の力を借りることで、一部の人間が生命維持のための農耕から解放され、文明の拡大に従事することができるようになった、という構図は、現代におけるAIと人間の関係に似ていると感じられる。


時間を遡れば、自動車や飛行機の発明にも同じことが当てはまる可能性があり、交通手段の発展によって人間が移動にかける時間を短縮することができるようになったことで、その短縮された時間を別の創造的で想像的な仕事に使うことができるようになった。


AIを用いることの本来の目的も同じで、AIの助けを受けて短縮できた時間を利用してさらに創造的な仕事を人間が果たすことにあったはず。しかし、どういうわけか、「AIに仕事を奪われる」という考えを持つ人間も生じる。

 

エジプト文明 - 古王国と中王国

 

概要


マクニールによると、紀元前3000年から2850年頃メネス王によって上下エジプトが統一された。メソポタミアの技術や知識、経験自分たちにとって良い部分ばかりを取り入れることによって、独特の様式的統一性と制度構造を持つエジプト文明はメソポタミアが要した半分の時間で形成に至った。エジプト文明の全ては神である王、ファラオの宮廷に集中し、完成度が高いものの脆弱性を持つものとなった。


古王国は、左右を砂漠に囲まれていたため蛮族からの侵略をそれほど気にかける必要がなく、また上下の移動はナイルに沿って船で容易に行えたため、地理的に中央集権化に適していたナイル川に沿って要所に信頼のおける部下を少数配置するだけで王国を支配することが可能であった。ナイルを介して余剰農作物を宮廷に集めることで単一的中央集権の維持を図り、ピラミッドの建設なども可能であった。


しかし、各地方の支配はファラオかその代理者に対するその土地の者たちの従順さに大きく左右されていたため、こういった形の支配は脆弱さをはらんでおり、マクニールによれば最終的には地方役人の反逆によって古王国は崩壊に至った。しかし、政治的な崩壊をむかえながらも、ファラオの文明の理想は消えることなく、エジプトの地に残り続けることとなった。


中王国は、古王国から続くファラオによる文明理想に基づいて、再度エジプトの地を統一した。古王国との違いとしては、各地の地主や有力者たちの重要性の高さが挙げられる。この変化によって、ファラオ宮廷への中心依存度合いが減少し、政治的に混乱・崩壊を迎えた際にも再生する力が高まった。それに伴い古王国時代に見られた芸術的洗練やスタイルの一貫性が失われた。しかし、これは専門的技術や知識が局所に集中するのではなく、小さな中心を持つものがエジプトの広域に拡散したことを意味しており、このおかげで後に訪れるアジアの蛮族たちによる侵略を経てもエジプト文明が完全に消失することを免れたのであった。

 

着目点

 

「にもかかわらず、エジプトの政治の権力の集中を究極的に崩壊させたのは、神官の反抗ではなくて、地方役人の反逆だった。」


 - マクニール「世界史(上)」81、82頁


マクニールによる古王国滅亡の説明は上記のように簡潔にしか記されていないが、近年の研究によってより明らかになってきているようだ。


エジプト人考古学者のフェクリ・ハッサン教授によれば、旱魃が古王国滅亡の大きな要因であった。旱魃によって、ナイル川が氾濫しなかったことにより栄養分を多く含む黒土がナイルの流域に運ばれず、畜産業、農業、ピラミッド建設が行えず、氾濫に頼っていたナイル河岸の住民が水や食べ物を求めて大都市へと移動をした。


最終的は大都市でも食料をめぐって略奪殺し合い、ピラミッドの盗掘が横行し、エジプト王朝は滅亡に向かった、という説である。

 

紀元前2500年から1700年にいたるメソポタミア文明

 

概要


エジプト文明とインダス文明が形成された時代のメソポタミア文明では果てしない政治的・軍事的争乱の時代にあったが、この中で2つの大きな変化が生じた。シュメル語が日常的に使用されなくなったことと、政治的に統一性と安定性を達成したことである。後者は官僚制、法、市場という3つの手段が発達したことが原因として挙げられる。しかし、帝国内の各地域に対する忠誠心の強さ交通の緩慢さが故に、長期的にメソポタミアの政治的帝国は安定を保つことは難しかった。


政治権力の中心川上に移動する傾向があり、シュメルからアッカドへアッカドからバビロニアへ富と権力の中心北部へと移動していった。その中でも、シュメルの神官が説いた理想シュメルが達成した技術による生活への適応という、メソポタミアの根本的連続性は途絶えることはなかった。


文明のさらなる拡大のためには灌漑を用いることができる河川流域だけではなく、天水地域でも文明社会が構築できる必要があった。マクニールによれば、天水地域への文明の拡大がどのようになされたのかは不明であるが、征服者商人たちが灌漑地域外の世界に大きな多様性をもたらしたということになる。


小アジア北東部に位置するヒッタイト文明が一例として挙げられる。彼らの文化はメソポタミア文化の二番煎じ固有文化の独自性をかけあわせたものであった。彼らの社会はいくつかの異なった民族集団からできており、ある集団が別の集団を征服することによって文明の基礎が作られていった。これらの拡大していく集団の統治者がある程度の富と労働力を蓄積していき、文明社会の商人たちとの取引を行い、文化を取り入れていったのだ。

 

着目点

 

「王の統治下のいかなる土地のどんな件にでも適用できる法も、同じ効果をもつ。それは、官僚制原理と同じくらい、人間関係をほとんど予測可能なものにしてしまう。見知らぬ者同士が、結果にある信頼をもちながら相手と取引きできる。」


 - マクニール「世界史(上)」89頁


現代においては当たり前とされてしまっている「法」の持つ根本的な役割を表している。


見知らぬ者交易を行うことは予測不可能な側面が多すぎるため、誰もが不安を抱くものである。しかし、という共通のルールを敷くことで、その予測不可能性を取り除き交易を主とする文明内でのコミュニケーションを簡易にした。

 

<発表後の議論の様子>

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(鈴木順一)

 

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