【令和5年度国公立大学一般選抜】「英検」優遇措置
慎重にチェックしてはいますが、受験生の方は、各大学の要項を必ずご確認ください。また、その際には対象となる受検期間等の詳細もチェックしてほしいと思います。なお、特に断りがなければ、以下は、一般選抜(前期)の情報です。
【秋田大学】国際資源学部 国際資源学科
「英検」準1級:個別学力検査の英語を満点換算
(「TOEFL iBT 61」「TOEIC L&R 730」等も同じ)
(令和5年度入学者選抜要項より)
【国際教養大学】国際教養学部 国際教養学科
「英検」準1級:大学入学共通テストの英語を満点換算
(「TOEFL iBT 72」「TOEIC L&RとS&Wの合計1200」等も同じ)
(令和5年度入学者選抜要項より)
【茨城大学】工学部
個別学力検査の「英語」は、次の1と2を比較して高いほうを用いる
1.(「みなし得点の点数」+「個別学力検査の英語の点数」÷ 2)
2.「個別学力検査の英語の点数」
<「みなし得点」の例>
・「英検」CSEスコア2300:100点
(「TOEFL iBT 72」等も同じ)
・「英検」CSEスコア1950:90点
(「TOEFL iBT 42」等も同じ)
(令和5年度入学者選抜要項より)
【千葉大学】国際教養学部
・「英検」CSEスコア2300:個別学力検査の外国語を満点換算
(「TOEFL iBT 80」「TOEIC L&RとS&Wの合計1560」等も同じ)
・「英検」CSEスコア2180:個別学力検査の外国語に20点加点(上限満点)
(「TOEFL iBT 62」「TOEIC L&RとS&Wの合計1420」等も同じ)
・「英検」CSEスコア1950:個別学力検査の外国語に10点加点(上限満点)
(「TOEFL iBT 42」「TOEIC L&RとS&Wの合計1150」等も同じ)
(令和5年度入学者選抜要項より)
【千葉大学】教育学部(英語教育コース)、園芸学部、看護学部
・「英検」CSEスコア2300:個別学力検査の外国語に30点加点(上限満点)
(「TOEFL iBT 72」「TOEIC L&RとS&Wの合計1560」等も同じ)
・「英検」CSEスコア2180:個別学力検査の外国語に20点加点(上限満点)
(「TOEFL iBT 62」「TOEIC L&RとS&Wの合計1420」等も同じ)
(令和5年度入学者選抜要項より)
【千葉大学】文学部(人文学科日本・ユーラシア文化コース)、法政経学部、教育学部(英語教育コース除く)、理学部、工学部、薬学部
・「英検」CSEスコア2300:個別学力検査の外国語に10点加点(上限満点)
(「TOEFL iBT 72」「TOEIC L&RとS&Wの合計1560」等も同じ)
・「英検」CSEスコア2180:個別学力検査の外国語に5点加点(上限満点)
(「TOEFL iBT 62」「TOEIC L&RとS&Wの合計1420」等も同じ)
(令和5年度入学者選抜要項より)
【東京藝術大学】音楽学部 作曲科・声楽科・器楽科・指揮科・邦楽科
「英検」準1級:大学入学共通テストの英語を満点換算
(「TOEFL iBT 72」等も同じ)
(令和5年度入学者選抜要項より)
【金沢大学】融合学域、人間社会学域(法学類は除く)、理工学域、医薬保健学域(医学類、薬学類は除く)
「英検」CSEスコア1950:スコアの提出可。大学が得点化を行い、大学入学共通テストの「英語」と比較して高いほうを利用
(「TOEFL iBT 42」等も同じ)
(令和5年度入学者選抜要項より)
【大阪教育大学】小中教育専攻英語教育コース・中等教育専攻英語教育コース
・「英検」準1級:大学入学共通テストに30点加点(上限満点)
(「TOEFL iBT 80」「TOEIC L&R 730」等も同じ)
・「英検」2級 :大学入学共通テストに15点加点(上限満点)
(「TOEFL iBT 65」「TOEIC L&R 600」等も同じ)
(令和5年度入学者選抜要項より)
【大阪教育大学】グローバル教育専攻英語コミュニケーションコース
「英検」準1級:大学入学共通テストと個別学力検査等の得点の合計点に60点加点(上限満点)
(「TOEFL iBT 72」等も同じ)
(令和5年度入学者選抜要項より)
【兵庫県立大学】国際商経学部 経済学コース・経営学コース(後期)
後期日程の個別学力検査「外国語」は、出願時に提出された英語資格・検定試験結果を得点換算
・CEFRレベルC1(「英検」1級等) :200点(満点)
・CEFRレベルB2(「英検」準1級等):160点
・CEFRレベルB1(「英検」2級等) :120点
・CEFRレベルA2(「英検」準2級等): 80点
(令和5年度入学者選抜方法等より)
【兵庫県立大学】国際商経学部 グローバルビジネスコース
個別学力検査「外国語」は、出願時に提出された英語資格・検定試験結果を得点換算
・CEFRレベルC1(「英検」1級等) :400点(満点)
・CEFRレベルB2(「英検」準1級等):320点
・CEFRレベルB1(「英検」2級等) :240点
(令和5年度入学者選抜方法等より)
【広島大学】総合科学部、文学部、教育学部、法学部、経済学部、理学部、医学部、歯学部、薬学部、工学部、生物生産学部、情報科学部
CEFRレベルB2(「英検」準1級等):大学入学共通テストの英語を満点換算
(令和5年度入学者選抜に関する要項より)
【尾道市立大学】経済情報学部 経済情報学科
CEFRレベルB1(「英検」2級等):5点加点
(令和5年度入学者選抜要項より)
【山口大学】国際総合科学部
個別学力検査:満点を上限に加点(前期:英語、後期:小論文)
・「英検」準1級、TOEFL iBT 80 等:前期30点、後期60点
・TOEFL iBT 65 等:前期20点、後期40点
・「英検」2級、TOEFL iBT 45 等:前期10点、後期20点
(令和5年度入学者選抜要項より)
【九州大学】共創学部
「英検」CSEスコア2300等:大学入学共通テストの英語を満点換算
(令和5年度入学者選抜概要より)
【九州工業大学】工学部、情報工学部
大学入学共通テスト「外国語」に加点(上限満点)
・「英検」CSEスコア2630等:40点
・「英検」CSEスコア2304等:36点
・「英検」CSEスコア2150等:32点
・「英検」CSEスコア1980等:28点
・「英検」CSEスコア1950等:24点
・「英検」CSEスコア1850等:20点
・「英検」CSEスコア1790等:16点
・「英検」CSEスコア1728等:12点
・「英検」CSEスコア1700等: 8点
・「英検」CSEスコア1670等: 4点
(令和5年度入学者選抜要項より)
【佐賀大学】教育学部、芸術地域デザイン学部、経済学部、医学部、理工学部、農学部
換算点が、大学入学共通テスト(英語)の得点より高い場合、検定試験の換算点を採用
・「英検」CSEスコア2250等:共通テスト(英語)を90%と換算
・「英検」CSEスコア2150等:共通テスト(英語)を80%と換算
・「英検」CSEスコア2050等:共通テスト(英語)を70%と換算
(令和5年度入学者選抜要項より)
【長崎大学】多文化社会学部
「英検」準1級等:大学入学共通テストの外国語を満点換算
(令和5年度入学者選抜要項より)
【宮崎大学】工学部
「英検」2級等:個別学力検査の英語を満点換算
(令和5年度入学者選抜要項より)
【鹿児島大学】法文学部、教育学部、理学部、医学部、歯学部、工学部、農学部、水産学部、共同獣医学部
「英検」準1級等:大学入学共通テストの「英語」を満点or加点とする
・共通テストの英語リーディング:80%以上の場合、満点とみなす。80%未満の場合は得点の25%を加点
・共通テストの英語リスニング :80%以上の場合、満点とみなす。80%未満の場合は得点の25%を加点
(令和5年度入学者選抜要項より)
「あれ」から3年
「唐突に一覧なんか出してきて、なんなんだ?!」と思われるかもしれませんが、、、「国公立大学入試と『英検』のいま」を確認したかったのです。
もう3年ほど前のことになりますが、2019年の秋頃、当時の大学受験生にとって大きな政治的意思決定がなされました。
英語民間試験活用のための「大学入試英語成績提供システム」の導入見送りです。
「2020年大学入試改革」の大きな柱であった英語4技能(「読む」「聞く」「話す」「書く」)評価。これを明示した「大学入学共通テスト実施方針」(2017年7月公表)以来、「英検」など、4技能テストの成績が出願資格等に用いられることになるという大きな制度変更に向け、当時の大学進学希望者は対策を進めていたわけですが、新制度がスタートする5カ月前に見送られたのです。
予備校講師という職業柄、この急な変更に戸惑ったり嘆いたりする受験生の声をよく聞きました。その後、コロナ禍もあり受験産業界に身を置く立場的にバタバタした時間を過ごしたのですが、それでも2019年の受験生の焦る顔はいまでも目に焼き付いています。おそらく忘れることはないでしょう。
あれから3年ほど経ちました。英語以外にも紆余曲折あって「共通テスト」が始まり、年明けには3回目が行われます。英語4技能テストの話をする人は、ずいぶん減ってきたように感じます。
たしかに、いま、ほとんどの大学受験生にとって、4技能テストは必須ではありません。
「しかし、」です。
必須でなくとも、有利になることもある。
そのことについて、少し考えたいと思います。
大学受験生は忙しい
「なにを今更」と思われるかもしれませんが、大学受験生はとても忙しい毎日を過ごしています。
職業活動の場合、対価が発生する以上、「できることをする」わけですが、受験生の場合にはそうも言ってられません。「できないこともする」のですから、その取り組みは大変なことでしょう。もちろん、時間も労力もかかります。
また、仕事の場合には、「コミュニケーションを通じて事が進む」面もあり、(その中で生じるしんどさもありますが……、)誰かが助けてくれたり内容が変更したりと、要は、「ぬるっとなんとかなる」こともあるわけです。他方、受験生の場合、基本的には答案用紙上での評価がすべてですし、アピールできる時間も非常に限られます。それゆえに、準備(受験対策)を入念にしなければならず、この意味でも、やはり時間も労力もかかります。
どうせ忙しいのが決まっているなら、その忙しさを分散できないか。
こう考えた場合の選択肢として、「英検」をはじめとする4技能テストの利用が挙げられるのです。
特に忙しい「国公立大学一般選抜」の対策
受験生の中でも、特に「国公立大学一般選抜」(旧一般入試)を目標にしている人は、多忙を極めます。
まず、最初の関門である大学入学共通テスト。それまでに志望大学を考えていたとしても、受験生の多くは、この「共通テスト」のスコアをもとに出願先を決めることになります。なので、獲得したスコアによっては志望大学を変更することも考えると、それなりの科目数を受けておきたいところ。
「英語(リーディング+リスニング)」、「国語(現代文+古文・漢文)」、「数学」(IA、ⅡB)に加えて、文系なら「社会」2つと「理科」1つ、理系なら「社会」1つと「理科」2つ・・・なかなか大変な科目数になりますね(場合によっては、「社会」と「理科」を2つずつ受けるケースもあります)。
単純に科目数だけを見ても「やるべきこと」が多く、さらには、各科目において必要な知識等が異なりますので、非常なマルチタスクを処理しなければいけません。受験指導という立場を離れて冷静に考えると、いやー、これはキツイです。。。
受験経験のある大人からすれば「私もしてたんだから、それくらい当たり前」という感想になるかもしれませんが、そういった方には、是非とも、昨年度の「共通テスト」を全科目一通り解いていただきたい。もちろん、時間も測って。おそらくは、「えっ、こんなに字が多いの??」という感想を抱くことでしょう。
ここは意見が分かれる点かもしれませんが、個人的には、センター試験よりも「共通テスト」のほうがしんどいテストだと感じますし、そのための準備をしなければならない受験生は大変だなあと思う毎日です。
それだけではありません。
国公立大学一般選抜には、「共通テスト」の後に「個別学力検査」(2次試験)があります。これは大学ごとのテストなので、共通テストの結果次第で出願先を決める場合には、候補となる複数の大学の対策(過去問演習など)をしなければなりません。
限られた時間の中で、同時並行的に、まるで性質の違うタスクを多数こなす・・・なかなかに大変な忙しさです。
どうせ忙しいのが決まっているなら、その忙しさを分散できないか。
先ほども述べましたが、こう考えた場合の選択肢として、4技能テストの利用が挙げられるのです。
「英検」で「満点換算」も!!
4技能テストの中でも、特に「英検」は受験生にとって受けやすいものだと思います。会場はたくさんありますし、料金も比較的安く、対策本も数多く市販されていますので自分に合った教材を選べるからです。
このような考えから、冒頭で、「英検」が大学入試で評価される制度、いわゆる「優遇措置」の例を紹介しました。
「えっ、ただでさえ忙しいのに、『英検』の余裕なんてないよ・・・」
ごもっとも。
ですが、どうせ英語の勉強はしないといけないわけですし、何よりテストの時期が大学入試のそれと異なれば「忙しさ」の分散を図れます。
また、少し先のことを考えれば、大学入学前の段階で「英検」に挑戦しておくと、入学後、さらに上の級にチャレンジしやすくなるのではないでしょうか。どうせ英語の勉強をしなければならないのであれば、ついでに就職活動等におけるアピール材料をつくる準備をしておくのも悪くないでしょう。
このような理由から、選択肢の1つとして検討する価値はあると思います。
「英検」を用いた優遇措置には、いくつか種類があります。
特に注目したいのは、冒頭の一覧でも目立つように赤太字で示した「満点換算」です。
「学科(英語)が満点になる」ってすごくないですか?!
テストにはケアレスミスがつきもの。それを防ぐための対策は、実に骨が折れるものです。「英検」は満点でなくても合格できるわけですから、「満点じゃない『英検』の成績」が大学入試の英語で満点として扱われるということ。これって、ある意味、オイシイ方法だと思いませんか??
もちろん、すべての大学でこのような優遇措置がなされるわけではありません。そして、「英検」の勉強も必要になります。
ですが、まだ時間的余裕のある高校1・2年生であれば、「優遇措置を取り入れている大学・学部の情報」を知っておいて損はないでしょう。
(吉崎崇史)