大学受験生のIです。
まずは不義理をしてしまったこと、この場をお借りして謝罪させていただきます。
なぜ「4浪目の受験ドキュメンタリー」が中断してしまったのか。この点について、お話させていただきます。
年齢についての不安が最大化
結論を言うと、メンタル的に受験どころではなかったからです。
9月下旬あたり、いろいろなことが重なり、僕は、精神的な「どん底」期に陥ってしまいました。受験はおろか、あらゆる意欲がなくなり、なにも考えられない状態に。外出すらできない。
ぱったりと勉強できなくなり、ほとんどの時間を答えのでない悩み事に費やす日々。気持ち的に限界を迎えていた10月頭、吉崎先生とのミーティングをしました。
とりあえず、現時点で言葉にできる不安や悩みを吐き出すことに。いろいろな話題がありましたが、やはり一番の不安は、将来のこと。
高校を卒業して4年目。同学年の人、進学後に同級生になる人、比べても仕方がないと理解はしていても、どうしても年齢のことが気になります。今後の人生で、社会に居場所ができるのだろうか。ネガティブに考え出すとキリがない、そんな悩みの渦中で苦しんでいました。
やはり大学に行きたい
「どうしたいか?」という話になったとき、僕は「パソコンの専門学校に通おうと思っています」と言いました。
元々、情報系の勉強に興味があったので、嘘ではありません。でも、やはり現実逃避の面が強く、そういう気持ちで進学するのは専門学校にも失礼だと感じていました。
先生は、そんな僕の思いを見抜いていたのでしょう。
先生「自分の人生における1つのパーツとしてその選択をするのであれば、いいと思うよ。よく決めたねって思う。だけど、いま決めたことの結果を引き受けるのに躊躇があるなら、いま決めるかどうかは考えてもいいんじゃない。専門学校に行くとしても、春からでしょ」
……返す言葉もありません。
いろいろ逃げるための言葉を並べてみたところで、やはり僕は大学に通いたい。4浪とはいえ、客観的に見れば、まだまだ若者の部類。過ぎた年月に嘆いて、悔いが残っても仕方ないと言うには、まだ早い。
結果的にどうなろうが、「受験する」ということに決めました。
モーニング大作戦!
ですが、自分でスケジュールを設定して、ということはできそうにありません。宅浪生活を続けてきて、結果的に2年連続で受験勉強から逃げてしまったわけですから、もう過信はできません。
そこで、とりあえず、ここ数日の生活状況を先生に伝え、「これからどうしたらいいのか?」を相談することになりました。
(この1週間の過ごし方を細かく表にして見てもらう)
先生「……」
僕「……ほんとに何もしてなくて」
先生「……」
僕「……いや、ほんとうにお恥ずかしい限りで」
先生「……」
僕「……先生??」
先生は反応に困ってしまいました。
なにしろ、しっかりと起きていなくて、食事はほとんど夜の一回だけ。外にも出ない。起きている時間の大半は、ひたすらに悩み続けている状態。あとはインターネット。もちろん、勉強時間はゼロです。1週間の過ごし方を細かく言葉にしたところで、たいした情報量ではありません。
先生「とりあえずさ」
僕「……はい」
先生「なんと言ったらいいのか……」
精神状態もひどく、不安でいっぱいいっぱいで、、という話をしたばかりです。それこそ、ここには書けないくらい、自暴自棄的な発言もしています。だから、言葉を選ぼうとしてくれているのがものすごく伝わりました。
僕「大丈夫です。厳しいこと言われても受け止めます」
先生「とりあえず、起きて、ご飯食べよか」
当面の1週間の過ごし方について、先生は、次の3つのルールを設定しました。
- 毎日、コメダ珈琲のモーニングを食べる
- 15時まで家に帰らない
- 1週間、勉強を禁止
11時までに入店しないとモーニングを注文できません。これで「午前中に起きて家を出る」ということは果たせそうです。15時まで家に帰らないというのも、これまで家にいてもただただ悩むだけでしかなかったため、納得です。
でも……勉強禁止!?
僕、やっぱり受験するって言いましたよね??
先生「やっぱさ、だらだら勉強するのも違うかなって。基本的には受験勉強がストレスだったわけじゃん。勉強しようと思ってはいてもストレスで勉強できなくなる、というのは気持ち的にも辛いだろうし、ここは思い切って、1週間、勉強を禁止するわ」
僕「でも、勉強なしで15時までどうやって時間をつぶせば……」
先生「それを考えるのも、大事なことだと思うんだよね。自転車乗ってみるとか、映画に行くとか。そうだ、お出かけミッションを作ろうか。とりあえず、有名どころで、姫路城とかいいんじゃない」
無理しすぎず、確実に前へ進む
それからの1週間、受験絡みのことと言えば、共通テストの申し込みのみ。あとは、ワンピースの映画を観たり、買い物に行ったり、流行りの音楽を漁ったり……約束通り、姫路城にも行きました。雨の中でしたが、思っていたよりも綺麗で感動しました。
先生の定めたルールについて、正直、「めんどくさいな」という気持ちもあったのですが、生活面で大きな変化が見られました。
それは、モーニングを食べるようになって、夜に爆食いしなくなったことです。アラームを使わず、朝7時には勝手に目が覚めるようにもなりました。
朝食は大事とよく言われますが、初めて実感しました。「コメダのモーニングに行け」というルールがなくなってからも、朝食は欠かさずに食べるようにしています。
10月中旬に受験勉強を再開したのですが、変な話で「そろそろ勉強してもいいよ」と言われたとき、少し嬉しい気持ちになりました。あれだけ嫌だったのに、禁止されるとしたくなるのです。
勉強を再開した時点では、「共通テストの過去問」という制限がかかりました。受験直前期ではあったので焦りの気持ちもありましたが、僕のメンタルの波を気にしてもらいながら、徐々にペースを上げていくことに。11月に入ってからは、毎日の勉強課題を設定してもらい、勉強できない日もありましたが、「この日のこの時間はこれをする」という時間割的なものを作ってもらえたおかげで大きく崩れることなく、勉強することができました。
先生の作った勉強スケジュールは、僕にかかってくる負荷も計算されたものでした。全科目、「できることを重ねる」を徹底したもので、「無理しすぎず、でも、確実に前へ進む」という方針が明確だったため、大きなストレスを感じることはありませんでした。計画の立て方の基本を改めて学べたと思います。
息抜きのため、2週間に1度のお出かけミッションも設定されました。姫路城に感動したと伝えたためか、「次は彦根城ね。雪の前に行っとかないと」と言われました。僕の地元からすると距離があって渋っていると、「じゃあ、大阪城でもいいぞ。手裏剣、投げておいで」と。
結果的には、僕の希望で、天王寺、阪神競馬場、中之島レトロなど、近場の観光地に足を運びました。近くにあっても、案外、知らないものがあるなあと再発見できたのはよかったです。美味しい洋食屋さんも紹介してもらいました。
プレテストと本番
全統プレ共通テスト
「4浪で大学に入っても将来は大丈夫なのか」や「この学部を選んだ場合、どのようなキャリアになるのか」など、勉強以外の相談にも乗ってもらい、メンタル的に安定した状態で全統プレ共通テストを受けました。その結果は、次の通り。
- 国語:143点
- 英語:(R)82点(L)64点
- 数学:(1A)82点(2B)71点
- 理科:(物理)92点(化学)82点
- 社会:(倫理政治経済)67点
総合約76%(683/900)という結果は、「やればできる」と思うには十分なものでした。勉強を中断していた期間の遅れも気になりましたが、共通テスト本番まで1ヶ月少しの時点でこの成績をとれたのは大きかったです。
共通テスト本番
その後、「これからできること・すべきこと」について相談を重ね、先生に作ってもらった毎日のスケジュール通りに進めていき、共通テストの本番を迎えました。
その結果は、次の通りです。
- 国語:145点
- 英語:(R)78点(L)84点
- 数学:(1A)85点(2B)92点
- 理科:(物理)95点(化学)64点
- 社会:(倫理政治経済)75点
化学のように失敗したものもありましたが、それも実力です。とはいえ、総合約80%(718/900)という結果は、かつて予備校に通っていたときも含めて自己ベストでした。
人間、都合のいいものです。共通テストを終えてから、受験勉強のストレスが小さくなりました。
思えば、「一発勝負のテストですべてを評価されてしまう」というところが、僕にとっては大きかったのかなと。
今は、大学個別のテストに向けて勉強中です。僕の4浪目の受験はまだ続きますが、最後まで全うできるように頑張ります。
(Iくん)