ロジカルノーツ

logical notes

ICU特別入学選考(2)入学願書

f:id:logicalnotes:20180812183133j:image

3つの話題


ICU特別入学選考では、Web出願システムに必要事項を入力して印刷する入学願書①のほか、志望動機などのエッセイを記入する入学願書②も提出する必要があります。


入学願書②では次の3つの話題についての記入が求められています。

 

  1. ICUに入学することを強く希望する理由を述べてください。
  2. ICUで何を学んでみたいですか。あなた自身の希望をその理由も含め述べてください。
  3. あなたを学生として受け入れることがICUにとって重要であると思われる理由を述べてください。

 

すべてに共通するのは「理由の説明」が求められていること。次の表現が「理由」を示す基本形です。

 

  • A。なぜなら、B。


「なぜなら」という接続語は前の文の理由付けを示す場合に使用されます。先に理由を示す形式で言い換えたい場合には「だから」などの順接を用いることとなります。

 

  •  B。だから、A。


このように考えると、「理由」を示すということは「順接関係」を示すということでもありますので、「理由の説明」においては「順接」についての理解が欠かせません。

 

www.logical-notes.com

 

第1の話題


ICUに入学することを強く希望する理由を述べてください。


第1の話題では「ICUという大学に入学したい理由」を書く必要があり、ここでは「他大学との違い」を意識しなければなりません。ICUは個性豊かな大学です。他大学にはない特色がたくさんあります。その中の「『何に』惹かれているのか」を明らかにする作業が必要です。


次に、「『なぜ』惹かれているのか」を説明しなければなりません。


「私は貴学の○○に惹かれている」

→「なぜかというと・・・」


伝えるべき情報は「『私が』○○に惹かれている理由」です。○○の魅力を表面的に述べるだけでは足りません。それだと誰でも同じことが言えてしまいます。「他の誰でもない『私』という人間」の話にすることを心がけたいところです。それは「『私』という人間がどのようなものなのか」について述べることでもあります。


大学進学には時間的・経済的コストがかかります。そして、そのコストは決して小さいものではありません。志望動機の文脈で述べた「○○に惹かれている」という言葉は、「時間的・金銭的コストをかけてでも○○を欲している」という意味をもちます。


○○に対してプラス評価をしているとしても、すべての人が「時間的・経済的コストをかけてもよい」と思っているわけではありません。世の中には魅力的なものがたくさんあります。そのような「手に入ったら嬉しいもの」の中でも、「『時間的・金銭的コストをかけてでも欲しい』と思えるもの」は限られてくるでしょう。そして、それは人によってさまざまです。


「○○に惹かれたので志望する」という言葉の背後には、「私は○○のために時間的・経済的コストをかけてもよい」という意識があります。そのとき、「コストをかけた後のリターン」をイメージしているはずです。そして、そのリターンが「私の人生において重要・必要なものである」と思うからこそ、「コストをかけてでも欲している」という気持ちが生まれるのでしょう。


以上のようなことを意識して、第1の話題【ICUに入学することを強く希望する理由】に何を書くのかを考えたいところです。


ここで注意したいことは「強く希望する理由」が求められているということ。入学したい大学が複数あったとしても、その中での優先順位はあるでしょう。「入学することを強く希望する理由」の説明は、「最も優先順位が高い」ということの説明でもあります。ICU特別入学選考の出願資格には「本学を第1志望とし、本学への入学を強く望む者。合格した場合は本学へ入学することを確約できる者。」という条件がありますので、当然のことでもありますが。

 

第2の話題


ICUで何を学んでみたいですか。あなた自身の希望をその理由も含め述べてください。


ICUは国際色豊かな大学です。英語力の向上を目的に入学を希望する人も多いと思います。そのため、「ICUで何を学んでみたいですか」という質問に対して「英語を学びたいです」とだけ答えてしまう人も少なくないでしょう。しかしながら、単に「英語を学びたい」と言っているだけの場合、「ICUでなくても構わないではないか」という疑問を残してしまいます。「ICUで英語を学ぶからこそ・・・」という内容を示さなければなりません。「ICUではどのように英語と触れることになるのか」を具体的に考える必要があると思います。


ICUの教育プログラムを見てみますと、「『英語だけ』の大学ではない」という印象を強く受けます。


専修分野数が31もあり、選択方法が「SINGLE MAJOR」「DOUBLE MAJOR」「MAJOR + MINOR」の3つですので、学ぶ内容のパターン数は計算するのが嫌になるくらいの数になります。同じ4年間を過ごすとしてもその時間の中で学ぶ内容は人それぞれ。だからこそ、「何を学んでみたいですか」と問いかけられているのでしょう。

 

第3の話題


あなたを学生として受け入れることがICUにとって重要であると思われる理由を述べてください。


「(総合)大学」を意味するuniversity(英語)。この語源として知られているのが「組合」を意味するuniversitas(ラテン語)。教える人と教わる人の共同体が「大学」になりました。


「大学入学」とは「『大学』という共同体の一員になる」ということです。この出来事によってさまざまなことが起こり始めます。第1、第2の話題が「入学によって『私』がどのような利益を受けるのか」に関するものであるのに対し、第3の話題は「『大学』という共同体が得られる利益」に関するものです。

 

  • 私が在学中/卒業後に行うことが共同体に利益をもたらす
  • 私が一員となることで他のメンバーによい影響を与える


このような内容を説得的に述べることが要求されていると言えるでしょう。


入学願書②に記入する3つの話題に取り組むことによって、「『大学』という共同体の一員になることの意味」を考えさせられることになります。就職予備校化したとも言われる大学ですが、もともとは「学ぶ」という知的営みについての共同体です。


そして、起源にまで遡れば、「大学」はリベラルアーツの教育機関でした。日本におけるリベラルアーツ教育のパイオニアと評されるICU。そこで時間を過ごしたい人はCharles Homer Haskins(青木靖三・三浦常司訳)「大学の起源」八坂書房(2009)などを読み、「大学とは何か」という問題について考えてみるのもよいかもしれません。

 

(吉崎崇史)

 

当ブログではGoogle Analyticsを利用して、アクセス解析を行うためにcookieを使用しております。Google Analyticsで集計したデータは、当ブログのアクセス解析や改良、改善のために使用させていただくものとします。なお、cookieは個人を特定する情報を含まずに集計しております。Googleによるデータの使用に関しては「ポリシーと規約」をご覧ください。