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2020大学入試改革!英語4技能と論理的表現のあり方を考察

国際志向の強い高校生の将来ビジョン- 2010年代の前半と後半の違い

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国際系学部受験は「出願」が大変

 

早稲田大学国際教養学部AO入試ICU特別入学選考関西学院大学グローバル入試・・・他にも国際志向の強い高校生がチャレンジする入試はたくさんあり、そういった入試に臨む人にとって「出願」は低くないハードルです。


英検1級・準1級の合格、TOEFL iBTTOEICでの高スコアの獲得。一般的な高校生以上の英語力をアピールするための準備が大変な中、出願時エッセイを作成する必要に迫られることも多いです。そして、この出願時エッセイのレベルが・・・非常に高い!

 

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早稲田大学国際教養学部(SILS)を例に挙げましょう。

 

早稲田大学国際教養学部(SILS)AO入試<2020年4月入学・国内選考>


Please compose and write an English essay by yourself in accordance with the following instructions.


Using your own personal experience as a foundation, write an essay in English of around 600 words explaining why you wish to enter the School of International Liberal Studies (SILS).


You should cover:

    1) what you are particularly interested in studying at SILS

    2) your plans or dreams for your life and career graduating from SILS


ん!?


「around 600 words」って・・・。


大学入試で英作文が出題されるだけでも「ついてないなあ」と感じる受験生は少なくないでしょう。ワード数の相場は約100というところでしょうか。長崎大学などワード数が150くらいになると特別な対策が必要になるレベルです。


「around 600 words」は、正直、高校生が仕上げる英作文のレベルを軽く超え・・・とにかく、国際系学部進学を希望する人にとって「出願時エッセイは低くないハードルだ」ということをお伝えしたかったのです。

 

出願時エッセイの指導経験から感じる将来ビジョンの変化


本記事執筆者たちは、長年、出願時エッセイ(日本語・英語)の指導を多数行っています。国際志向の強い高校生だけでも200ケースほどの経験があります。


出願時エッセイの指導では受験生本人に対するヒアリングが特に重要となるのですが、この数年間は「国際志向の強い高校3年生の将来ビジョンが変化しつつあるなあ」と感じることが非常に多くなってきました。


国際志向の強い人がどのような将来ビジョンをもっているのか。

 

この情報は、これからの人たちが「国際化する社会とどのように向き合っていくか」を考える契機になるかもしれませんし、社会の変化を考察する材料になるかもしれません。


このような考えから、本記事では「国際志向の強い高校生がどのようなことを考えているのか」を扱いたいと思います。


以下の記事は、私たちが接してきたケースだけが基礎資料ですので、あくまで「ひとつの見解」程度のレベルにすぎません。その点はご了承くださいませ。

 

2010年代の前半


たくさんのケースを見てきましたが、その将来ビジョンの多くは「日本を世界にアピールしたい!」というものでした。


高校生活の中で約1年間ほどの留学を経験し、「改めて『日本のよさ』を実感したので、日本をアピールする役割を担いたいと思った」と語る人が実に多かったです。このうち、私たちが見てきたケースのほとんどは「将来の活動エリアは『海外』」と考えるものでした。


DAISOSeriaなどの100円ショップのグッズ、ニンテンドーDSなどの携帯型ゲーム機岸本斉史氏の漫画作品「NARUTO -ナルト-」点字ブロック・・・。

 

  • 「日本から持っていったものが留学先で高く評価されたことが一番驚いたことです」と留学生活を振り返る人
  • 「留学先で日本のものが高く評価され、それが異国での心の支えになりました」と涙ながらに話す人


「日本のよさ」を海外へアピールする仕事に就きたいと考え、海外との取引関係が強固な商社メーカーについての業界研究を始める受験生もいました。


国際系学部への進学希望者の中には、「国連やJICAなどで社会貢献活動に従事したい」と考える人もいます。2010年代前半を振り返りますと、「いわゆる途上国における学校設立・井戸開発などに従事したい」と語る人が多かったように思います。また、「国際的なジャーナリストになって弱者に対する差別を少なくしたい」と語る人もたくさんいました。

 

2010年代の後半

 

心は国際志向、身は国内志向?


「将来の活動エリアは『海外』」と考える人も多いのですが、近年は「将来の活動エリアは『日本』」と考える人の割合が大きくなってきたように感じます。


国際オリンピック委員会(IOC)総会における滝川クリステル氏のプレゼンテーションで「おもてなし」ブームが起こったのが2013年。その後、中国人観光客の「爆買い」が話題となり、それが「ユーキャン新語・流行語大賞」の年間大賞になったのが2015年


高卒後の進路を考える少し前にこれらのニュースに触れてきた人にとって、海外から日本にやって来た人を相手とする仕事はイメージしやすいものになってきました。そして、出願時エッセイ指導のヒアリングの場面においても「訪日外国人観光客を対象とする仕事に就きたい」という話を聞くことがずいぶんと増えてきました。


そして、インバウンド消費日本経済を支える大きな柱になってきたことも影響してか、2010年代後半に入り、国際志向の強い高校生の中でも「将来の活動エリアは『日本』」と考える人が増えてきたように感じます。「心は国際志向だけど、身は国内志向」とでも言いましょうか。

 

  • 「日本での生活を続けても国際交流ができたり、世界を感じられたりするんだったら、わざわざ海外へ行かなくてもいいかなって」
  • 「これからは日本の中で国際性をもった人が増えることも大切だと思うんですよね」


こういった発言を聞いて「なるほどなあ」と思いました。

 

  • 「留学先に適応するのに苦労をしたから、心理カウンセラーになって、移民の子どもたちや帰国子女たちが日本の環境に適応できる手助けがしたい」
  • 「留学先で感じた本当の海外を体験できる映画を作りたい」
  • 「共感覚者である自分はこれまでに苦しんできたが、海外では受け入れられた。このことを踏まえて、共感覚の研究を進めて社会の役に立ちたい」
  • 「留学先で読んだ雑誌や高級紙のようなものを日本でも作りたい」
  • 「海外で経験した本当のインターナショナルスクールを日本に作りたい」

 

自分が海外で経験したことを何らかの形で日本で還元したい

 

このような気持ちを強くもつ人が増えてきたように感じられます。

 

英語だけでなく日本語も「強み」に


国際志向の強い高校生の中には「英語教師になりたい」と考える人もおり、「教育系の仕事をする自分」をイメージしている人も少なくありません。そして、その中には「日本語を教える仕事」に強い関心をもつ人もいます。この「日本語を教える仕事」についても「将来の活動エリアは『日本』」と考える傾向があらわれているように感じます。


2010年代前半では「海外で日本語教師になりたい」と考える人が多かったのですが、最近では「日本で日本語教師になりたい」と考える人も増えてきました。外国人就労者の増加を見込んでのことでしょう。最近の高校生はリサーチ能力がすごい・・・。

 

世の中の動きに敏感


2010年代後半では、出願時エッセイの内容が具体化してきているように感じます。ヒアリング時にも「最近の高校生は世の中のことに詳しいなあ」と感心することが増えました。


高校生のリサーチ能力が高くなってきたのはスマートフォンの影響でしょうか。内閣府が発表している「青少年のインターネット利用環境実態調査」を確認してみますと、2011年だと1割にも満たない「高校生のスマートフォンの所有・利用率」は、2012年5割を超え、2013年には約8割、そして現在95%を超えています。

 

www8.cao.go.jp


リサーチ能力の高さ出願時エッセイの内容にも反映。


SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)やp4c(philosophy for children:子どものための哲学)などの言葉が自然と出てきて、文脈的にもきちんと使えていますので、最近の高校生はすごいなあと驚くばかりです。

 

海外への憧れ・・・このような面が目立った2010年代前半。これと比べて、2010年代後半では「憧れ」よりも「現実」に意識が向いているように思えます。世の中が大きく動いていることを感じ取っているのかもしれません。

 

「社会の一員としての私」

 

このようなことを強く意識している高校生が多いのは頼もしい限りです。


(吉崎崇史・鈴木順一)

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